チェスター・ベニントンの歌声が蘇る ─ 1997年に書かれたチェスターの喪失感と失望歌う「シックネス」MVが公開

2017年7月20日に自殺によりこの世を去ったリンキン・パーク(LINKIN PARK)のボーカリスト、チェスター・ベニントンが1990年代に地元フェニックスで組み、亡くなる直前まで再結成を夢見ていたバンド、グレイ・デイズ(GREY DAZE)より、2020年4月10日リリースとなるアルバム『アメンズ(原題:AMENDS)』の収録曲「シックネス」が先行配信となった。ミュージック・ビデオも公開となっている。
この楽曲「シックネス」はもともと1997年に書かれたもので、当時のチェスターがどうにか理解しようとしていた喪失感や失望が描かれている。助けを求め、自暴自棄になっていたチェスターの叫びを反映させたような、どこまでも伸び続けるクライマックスがある楽曲だ。詞はチェスターと、親友でありドラムスを担当するショーン・ダウデルによる共作。
ショーンは、このミュージック・ビデオに関して以下のように語っている。
「このビデオは、チェスターが15歳の頃の実話に大まかには基づいているんです。彼は学校でいじめられていて、ある日実際に暴行も受けてしまった。僕は2歳年上だったので、友だちを集めて翌日公園に行き、その子を懲らしめてやった。その日から僕はチェスターを守る役目を担い、それ以来彼が亡くなった現在も兄のようになったんだと思う。」
4月10日に世界同時リリースとなるアルバム『アメンズ』は、2017年にチェスターがグレイ・デイズを再結成し、当時バンドに足りていなかったリソースなどをメンバーと共に再構築、再録音すると発表したところから始まった。メンバーはすでにリハーサルを始めており、チェスターもリンキン・パークのツアーが終わったらスタジオに入る予定だったが、同年7月20日にチェスターが急逝する。
一旦は皆途方に暮れたものの、残ったメンバーのショーン・ダウデル(ds)、メイス・ベイヤーズ(b)、クリスティン・デイヴィス(g)、そしてチェスターの両親と未亡人のタリンダが、ロマ・ヴィスタ・レコーディングスの創設者でありリンキン・パークが在籍するワーナー・ブラザーズ・レコードの元会長トム・ワーリーの支援を受けてプロジェクトを実現することを使命とした。
ショーン、メイス、クリスティンの3人で90年代半ばのバンドのトラックからまず選曲、90年代のオリジナルのチェスターのヴォーカルにリマスターを施し、2019年にそのヴォーカルをメインにしつつ新たにサウンドをレコーディング。ジェイ・バウムガードナーがプロデュースをし、KORNのブライアン“ヘッド”ウェルチ、ジェームス“マンキー”シャファー、ペイジ・ハミルトン(ヘルメット)、クリス・トレイナー(ブッシュ、ヘルメット、オレンジ9MM)、シンガー・ソングライターのLPなどもレコーディングに参加している。
ショーンとタリンダ・ベニントンはローリング・ストーンに本プロジェクトがどのように実現に至り、世界中のファンと本作品を共有できる感動について話している。
「彼がグレイ・デイズをもう一度やりたかったのは音楽が素晴らしかったから。彼は昔からこのバンドの音楽が好きだったし、この音楽を自分で作ることができたことに興奮していました。彼が多くの経験と成功を得た後に、このバンドをまたできることにとてもワクワクしていたんです。いま、彼の声が聞こえる。“最高だ!”って。」
また、KORNのブライアン “ヘッド” ウェルチは「レンジ、パワー、どちらをとっても彼が最盛期にいるように聴こえる」とも語っている。
本作品は、チェスターと親密だった周りの人たちの輪だけでなく、チェスターの声をもう一度聴くのを待っている何百万人のファンにとっても、10代の頃からのチェスターのメッセージが現代のサウンドで蘇る重要な作品だ。グレイ・デイズのアルバム『アメンズ』は2020年4月10日リリース。
グレイ・デイズ / アメンズ 収録曲
- シックネス
Sickness - サムタイムス
Sometimes - ホワッツ・イン・ジ・アイ
What’s In The Eye - ザ・シンドローム
The Syndrome - イン・タイム
In Time - ジャスト・ライク・ヘロイン
Just Like Heroin - B12
B12 - ソウル・ソング
Soul Song - モレイ・スカイ
Morei Sky - シー・シャインズ
She Shines - シャウティング・アウト
Shouting Out
DAF Fall Out
※ボーナストラック収録予定