『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』ジェームズ・ガン、マーベルとDCは「互いに高め合っている」 ─ 『スーサイド・スクワッド』撮影中、ファンにメッセージ

アメコミ界の2大巨塔、マーベルとDCは、かねてよりライバル関係が強調されることの少なくない関係性にある。コミック映画が隆盛を迎える近年、その傾向は映画界にも広がりを見せていたのだ。ところがこのところ、その壁は少しずつ崩れつつある。キーパーソンのひとりが、マーベルで『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』シリーズを、DCで『ザ・スーサイド・スクワッド(原題:The Suicide Squad)』を手がけるジェームズ・ガン監督だ。
このたびガン監督は、『ザ・スーサイド・スクワッド』の撮影開始を祝して、マーベル・スタジオから“とある記念品”を贈られたことを明かしている。それは、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』シリーズの撮影風景などをたっぷりと収めた分厚いスクラップブック。マーベル・スタジオのケヴィン・ファイギ社長らが贈った一冊について、ガン監督は「今までで一番クールでスイートな贈り物」「泣いてしまった」と記している。
もっとも、ガン監督の“越境”がきわめて異例の経緯で実現したものであることを忘れてはならない。2018年7月、ガン監督は『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー Vol.3(原題:Guardians of the Galaxy Vol.3)』から過去の不適切な発言を理由に解雇された(マーベル・スタジオではなく、上層部のウォルト・ディズニー・スタジオによる判断だったという)。この解雇劇はファンや業界内でディズニーへの大きな批判を巻き起こし、その後、ワーナー・ブラザース&DCコミックスが『ザ・スーサイド・スクワッド』をガン監督に打診することで手を差し伸べたのだ。その後、2019年3月にガン監督は『Vol.3』に復帰している。
ガン監督は『ザ・スーサイド・スクワッド』を完成させたのち、『Vol.3』に着手する予定。誰も予期しない形でマーベルとDCの橋渡し役となったわけだが、『ザ・スーサイド・スクワッド』のキャストに『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』クラグリン役のショーン・ガンや『マイティ・ソー バトルロイヤル』(2017)監督のタイカ・ワイティティを起用しているあたり、おそらくその役割にも自覚的だろう。
マーベル・スタジオからの贈り物を受けて、ガン監督は、このたび改めてマーベルファン、DCファンの両方に語りかけている。
「これまで何度もお話ししてきたように、結局のところ、マーベルファンとDCファンは異なるところよりも似ているところの方が多いのです。僕は現在、そして人生のほとんどを両方のファンとして過ごしてきました。どちらかの方がより好きだということはあるかもしれませんし――それで良いと思います――けれども、それはどちらか一方をまったく楽しめない、あるいはけなさなくてはならないということではありません。
マーベルとDC、両方の僕のパートナーたちは、“どちらかのスタジオにとって良いことは、全体にとっても良いことなのだ”と信じています。連続的なアート(編注:コミックのこと)を基にした、あるいはそこから影響を受けた映画は、世界中の観客に愛され続けています。そんな心のこもった、壮大な、そして革新的なエンターテイメントで、お互いを日々高め合っているのです。」
ところでガン監督は、SNSをきっかけに『Vol.3』を解雇されたことから、一時はSNSでの発言などをかなり抑えていたが、現在は再びファンに対してメッセージを投げかけたり、ファンとの積極的なコミュニケーションを行ったりと、かつてのスタイルに近い活発さを取り戻しつつある。『ザ・スーサイド・スクワッド』の撮影も始まり、いよいよ本格復活ということだろう。
映画『ザ・スーサイド・スクワッド(邦題未定、原題:The Suicide Squad)』は2021年8月6日に米国公開予定。『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー Vol.3(原題:Guardians of the Galaxy Vol.3)』の公開日は発表されていない。