ドラマ『ハンニバル』全3シーズンのすすめ
近年、ちょっとしたブームになっているヒット映画のドラマ化。 その成功例の一つが『羊たちの沈黙』『ハンニバル』『レッドドラゴン』『ハンニバル・ライジング』で登場した、 超天才精神科医にして食人癖のある猟奇殺人者であるハンニバル・レクターの物語を描いた『ハンニバル』だ。
マイケル・マン監督の『刑事グラハム』でブライアン・コックスが演じたときは、 まだそこまで映画ファンの中ではインパクトは薄かったが、 91年の『羊たちの沈黙』でアンソニー・ホプキンスが演じて、 監督のジョナサン・デミに共演のジョディ・フォスターを共々、 アカデミー賞の主要5部門を独占すると、レクター=ホプキンスとしか見られなくなった。
そんな中、改めてドラマ化というとなると、だれもが二の足を踏みそうなところを デンマークの至宝マッツ・ミケルセンが抜群の知性とアクティブさを若々しさを携えて、登場した。 そして『レッド・ドラゴン』で登場したグラハム捜査官にはヒュー・ダンシー、 グラハムの上官・クロフォードにはローレンス・フィッシュバーンという豪華共演。

シーズン1を見たときにはいわゆるコインの裏と表のようなレクターとグレアムが、 危険なホームズとワトスンとなって異常な事件に挑むプリクエル=前日譚とかと思っていたが、 シーズン2で映画『ハンニバル』に登場した(ものすごい特殊メイクのゲイリー・オールドマンが演じた) 異常な精肉業を営む大富豪メイスン・ヴァージャーが登場すると、一気に物語が拡がり 壮大なレクターサーガが再構築され始める。
シーズン2のラストでは映画と順番が変わるもののレクターはフィレンツェに逃亡する。 ちなみにシーズン2のディレクターの中に『CUBE』のヴィンチェンゾ・ナタリもいる。
そして完結編シリーズとなるシーズン3では、新しい形でハンニバルVSメイスンの決着が描かれ 『ライジング』でハンニバルの故郷リトアニアとすべての根源妹のミーシャの話が語られ、 育ての親レディ・ムラサキの侍女だった千代が登場する。 (演じるのはアメコミ映画でお馴染の日本人モデルTAO)
後半では6エピソードをかけて『レッド・ドラゴン』を再構築する豪華仕様。 結果として39話をかけて『ハンニバル』『ハンニバル・ライジング』『レッド・ドラゴン』が全て取り込まれた形となった。 シーズンはもろもろ事情もあり打ち切りというか終了ということでになってしまったが、 こうなるとやはりあの羊にトラウマを持つ勇敢なFBI訓練生の彼女の登場をどうしても期待してしまう。