ヒーロー映画引退宣言のハンス・ジマー、『X-MEN: ダーク・フェニックス』『ワンダーウーマン 1984』で復帰する理由とは

『ブレードランナー 2049』(2017)や『ダンケルク』(2017)をはじめ多数の作品で音楽を手がける、今やハリウッドになくてはならない作曲家ハンス・ジマーは、かつて『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』(2016)に参加した際、“ヒーロー映画引退”を宣言した。しかしそれから約3年を経て、2019年、ハンスはヒーロー映画に戻ってくる。
マーベル映画『X-MEN』シリーズの最新作『X-MEN: ダーク・フェニックス(邦題未定、原題:X-Men: Dark Phoenix)』、DC映画ユニバース作品『ワンダーウーマン 1984(邦題未定、原題:Wonder Woman 1984)』。一度はヒーロー映画を去ると決意した男が、なぜ2本の作品を引き受けることにしたのか? 米Colliderの取材にて復帰の経緯が語られている。

ヒーロー映画復帰、キーパーソンは名匠ロン・ハワードだった
「なぜヒーロー映画に復帰するのか」。それ以前に問題となるのは、なぜハンスがヒーロー映画からの引退を決意したかであろう。『バットマン vs スーパーマン』当時を回想して、ハンスはこう語っている。
「(ヒーロー映画では)自分のやりたいことを失ってしまったんです。新しいアイデアが出てこなかったし、参加したいとも思わなくなりました。するとロン・ハワードが――最高の知性の持ち主だし、親友なんですが――静かにこう言ったんです。“ハンス、やらないとは言うな、いつでもやるべきだ”と。」
『アポロ13』(1995)や『ビューティフル・マインド』(2001)、『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』(2018)を手がけた名匠ロン・ハワード監督が、ハンスのヒーロー映画引退宣言をギリギリで引き留めていたのだ。ハンスも「ジャンルが問題ではないですから」と述べ、「僕は素晴らしいストーリーを待っていたんですよ」と語っている。

その後、ハンスにオファーを出したのが『X-MEN: ダーク・フェニックス』のサイモン・キンバーグ監督だった。監督から作品の意図を直接聞いたハンスは「ずっとやってみたかったアイデアがあって、それが映画にハマりそうだった」として、ヒーロー映画への復帰を決意したそうだ。
また『ワンダーウーマン 1984』についても、パティ・ジェンキンス監督のアイデアが「本当に面白かった。関わりたくなるストーリーだった」ことが大きな理由だったという。そして、なによりも『バットマン vs スーパーマン』でワンダーウーマンのテーマを自ら手がけたことが背中を押したのだろう。ハンスは「(自分の仕事を)終えなきゃいけないと思ったんです」と話している。
一度は引退を宣言するに至ったハンスをヒーロー映画へと引き戻した、サイモン・キンバーグ&パティ・ジェンキンスという二人のクリエイターのアイデアとはいったいどんなものだったのか。どちらの作品も内容は謎に包まれたままだが、映画音楽の重鎮を動かしたストーリーは今から期待しておいて間違いないだろう。
ちなみに、ハンスは久々となるヒーロー映画復帰について「うまくいくかどうかはわかりませんよ」と笑っている。
映画『X-MEN: ダーク・フェニックス(邦題未定、原題:X-Men: Dark Phoenix)』は2019年2月14日、『ワンダーウーマン 1984(邦題未定、原題:Wonder Woman 1984)』は2019年11月1日より米国公開予定。
Sources: Collider, ComicBook.com
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