『ヒッチャー ニューマスター版』CGなしのカーチェイスシーン公開 ─ ハーモン監督「全く狂った考えだ」

2019年7月に75歳で死去した名優、ルトガー・ハウアー出演のサイコ・スリラー『ヒッチャー ニューマスター版』より、C・トーマス・ハウエルがスリリングな逃走劇を繰り広げるCGなしのカーチェイスシーンを捉えた本編映像が到着した。
本作は、殺人ヒッチハイカーを乗せたばかりに、ひたすら狙われ続ける青年の混乱と絶望を描き、アメリカ全土に”恐怖のヒッチハイカー“というトラウマを植え付けたサイコ・スリラー。シンプルなストーリーながら、全編に異様な緊張感を持続させることに成功、と同時にド派手なアクションの連続で、観る者に恐怖と興奮を与え続け、今もなお多くの映画ファンに愛されている傑作だ。
公開された本編映像は、テキサスの広大なハイウェイで繰り広げられる大迫力のカーチェイスシーン。冒頭から、警察が運転する2台のパトカーから逃れようと必死に車を走らせるジム(C・トーマス・ハウエル)の姿が映し出される。殺人ヒッチハイカーから逃れる最中、連続殺人の容疑をかけられ警察に追われるジム。ダイナーで出会ったウェイトレス、ナッシュ(ジェニファー・ジェイソン・リー)の助けを借りて奪ったパトカーに乗り込み警察の追跡をかわしていくが、容赦なく散弾銃で車を破壊され、ドアが後ろに吹っ飛んでいくスリリングなカーチェイスが展開。終盤では、時速100キロで並走していたパトカーが派手に横転しながら大破していく様子がスローモーションで描かれる。

このカーチェイスシーンにはCGが一切使われていないという。監督のロバート・ハーモンは、小型カメラを取り付けたクレーンを撮影車に乗せ、車の真上や地面スレスレのあらゆるカメラワークによる撮影を実現。『ヒッチャー』旧DVD特典に収録されたインタビューの中でハーモンは「当時いいと思ったアイデアがあった。コンピューター映像の前の映画なんだ。全く狂った考えだ」と明かしている。
そんな危険な撮影で見事撮りきったのは、『マッドマックス 怒りのデス・ロード』(2015)の撮影監督を務めたジョン・シール。「必死でアングルを見つけようとした。私はこのスタント映画に熱中した」と語っており、最後の車の横転シーンは、まさにこちらに迫ってくるかのようなカメラギリギリのアングルで、臨場感とスリル満点の印象的なシーンに仕上がっている。
『ヒッチャー ニューマスター版』は2021年1月8日(金)よりシネマート新宿ほか全国順次公開。