『ハウス・オブ・グッチ』特殊メイクで別人に変貌、ジャレッド・レトの覚悟「自分史上最低か、史上最高か、そのどちらかだと思った」

巨匠リドリー・スコット監督が、グッチ一族の確執と3代目社長マウリツィオ・グッチの暗殺事件を描いた『ハウス・オブ・グッチ』。この映画で、アダム・ドライバー扮するマウリツィオ・グッチの従兄弟であるパオロ役を演じたのが『ブレードランナー 2049』(2017)などのジャレッド・レトだ。毎日6時間におよぶ特殊メイクによりし、禿げ頭ででっぷりと太った姿の、まさしく別人のビジュアルで登場する。
ストイックなメソッド演技で知られるジャレッドは、本作でも入念なリサーチに基づく役づくりで演技に臨み、全米映画俳優組合賞では助演男優賞にノミネート。米Deadlineでは、パオロ役について「自分史上最低のものになるか、史上最高のものになるか、そのどちらかだと思っていた」との心境を吐露している。

『ダラス・バイヤーズクラブ』(2013)でアカデミー賞の助演男優賞に輝いたジャレッドは、若手時代から『レクイエム・フォー・ドリーム』(2000)や『チャプター27』(2007)などに出演し、近年は『スーサイド・スクワッド』(2016)のジョーカー役を含む幅広い作品に出演している。野心的な作品選びはフィルモグラフィの特徴であり、『ハウス・オブ・グッチ』もまぎれもなくそのひとつに数えられるだろう。ジャレッド自身は「思いっきり挑戦したい。大失敗が成功につながるような場所にいたい」と語る。
「“できるだけ勇敢に、なるべく大胆に”と自分自身に言い聞かせていたいんです。(パオロ役は)アーティストとしての創造性において、自分史上最低のものになるか、それとも史上最高のもののひとつになるか、そのどちらかだと思いました。その中間になることはないな、と。こういう役柄に呼んでもらえる俳優になれているんだと思い、本当にありがたかったですね。」
『ハウス・オブ・グッチ』のパオロは、ファッションデザイナーとして有名になりたいという野心に燃え、グッチ家の継承さえも視野に収める人物として描かれている。ジャレッド自身は、パオロが抱えているアーティストとしての夢や、“特別なものを作りたい”という欲望に共感し、この役柄に強く惹かれたという。

監督のリドリー・スコットは、まずは思うままにパオロ役を演じられる環境をジャレッドに与えた。出演が決まった当時、ジャレッドが監督に「今回の役は僕自身が正気を失ってしまうと思うんですが…」と申し出たところ、リドリーは笑いながら許可を出したそう。撮影を振り返って、ジャレッドは「(パオロ役として)セットに行ったとき、リドリーは僕たちに時間を与え、そして僕たちを信頼してくれました。素晴らしいものをもらったと思います」と語っている。
レディー・ガガ、アダム・ドライバー、アル・パチーノ、ジェレミー・アイアンズという豪華キャストの中で、ジャレッドはどんな演技を見せてくれるのか。そのすべては映画館で確かめてほしい。映画『ハウス・オブ・グッチ』は2022年1月14日(金)より全国公開。
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Source: Deadline