2003年アン・リー版『ハルク』再評価、「めっちゃ過小評価されてる」と出演者 ─ ページをめくる演出、「アン・リーは芸術をやった」

2003年の映画『ハルク』は、マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)誕生よりもっと以前に製作された、ハルクのオリジンを描く独自の作品だ。当時すでに『グリーン・ディスティニー』(2000)などで世界的な評価を受けていたアン・リーが革新的な演出と共に挑んだが、ファンの評価は今ひとつ。同時期に『スパイダーマン』や『X-MEN』シリーズがアメコミ映画の礎を築いていたこととは対照的に、『ハルク』が評価される場面はあまり多くない。
そんな作品について、「過小評価されていると思います」と米Comicbook.comの取材で持ちかけらたのが、同作でベティ・ロスの元恋人グレン・タルボットを演じたジョシュ・ルーカスだ。ルーカスは20年前に出演した本作への愛情を今も持ち続けているようで、「僕もあの映画が大好きです。めっちゃ過小評価されてるってのは同意見です」と笑顔で話している。
ルーカスが「あんな風にページをめくる演出のコミック映画は見たことがない。コミックのページをめくるあの感じを、アン・リーは映画で再現しようとしていたんですよ」と話しているように、同作では画面をコマ割りして各パネルに異なる場面を展開したり、ページをめくるような演出が試みられている。その後のアメコミ映画でこの類の演出がほとんど採用されていない点を見ると、映像作品との相性はさほど評価されなかったのかもしれない。しかし、少なくともアン・リーが独自の芸術を目指していたというルーカスの主張は正しい。
「アン・リーは偉大なアーティストです。マーベルが今のマーベルになる以前、あの王国の鍵を渡された作家的監督で、そこに超芸術的なものを持ち込もうとした。身体の神経系や細胞を見せると言ったアイデアを、彼は視覚的に表現してみせたのです。ニック・ノルティの演技も素晴らしく、映画史に残る悪役だったと思いますよ。」
この『ハルク』はシリーズ化を果たすこともなく、2000年代初期のアメコミ映画黎明期の試みの一つとして見なされることとなった。過小評価されがちな作品ではあるものの、怒りも怯えも見せる巨体のハルクが猛スピードでジャンプ移動して戦車に体当たりするアクションなどは、MCU版とはまた異なる迫力がある。MCUがマルチバースを活用すれば、エリック・バナ版のブルース・バナーが再登場する可能性もあるかもしれない?
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Source:Comicbook.com