『ハリー・ポッター』透明マントが現実化に向け前進

科学が魔法に追いつく?
『ハリー・ポッター』シリーズに登場する透明マントが、現実化に向けて前進した。光学研究を行う米ワシントンD.C.のThe Optical Society社が報告した。Daily Sun誌が伝えている。
「透明マント」の実現は、これまでも科学者らの間で「スペクトル透明マント(spectral invisibility cloak)」として研究が進められていた。
研究チームのジョセ・アザナ氏は「透明マントの探求において大きな前進」と語る。「対象のオブジェクトの完全な不可視化に成功しました。広帯域照明のもと、光波を増幅させながら、光のちらつきなくオブジェクトを通過させることで、オブジェクトもマントも存在しないように見えるのです。」
いまいちピンと来ない方もいらっしゃるだろう。別の研究者のルイス・ロメロ・コーテス氏は、もう少し細かくその手法を補足している。「従来の方法では、不可視化するオブジェクトの周囲の光の伝播経路を改変することに頼っていたんですね。しかしこの方法では、光波がマントを通過する時間が色によって異なっていたので、マントがチラついて見えてしまっていたんです。
我々が提案する解決法では、光波とオブジェクト間の相互作用を回避しつつ、光波にオブジェクトの周囲を伝播させるのでなく、オブジェクトを通過させたというわけです。」──なるほど、わからん。
この技術では、オブジェクトが緑の光を反射した際、緑色の波長を青色に変換することで、緑の光の反射を無くした後、オブジェクトの反対側に抜け出る光波の構成を逆転させるという。マントは、光ファイバーと時間相変調器を用いて開発。部品自体はいずれも市販されているものだそうだ。
Source:Daily Sun,Electronics Weekly.com
Eyecatch Image:The Conmunity – Pop Culture Geek