『アイアンマン』第1作の脚本、マーベルが撮影現場で却下していた ─ ヴィラン役俳優「大混乱だった」と当時を振り返る

マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)の始まりとなった『アイアンマン』(2008)の製作当時、マーベル側が脚本に納得せず、撮影現場でシナリオを却下するという事件が起きていたことがわかった。アイアンモンガー/オバディア・ステイン役を演じたジェフ・ブリッジスが当時を振り返っている。
『アイアンマン』といえば、のちに『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』(2018)『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019)にも繋がるMCUの成功の鍵を握った記念すべき第1作。しかし2008年の公開当時にも、監督のジョン・ファヴローは「残念ながら脚本にきちんと目が向けられるのは作業の一番最後」と述べ、その他の準備に時間が取られたことを認めていた。それゆえ脚本が間に合わず、撮影と執筆を並行したり、時には即興であらゆるバージョンを撮ることもあると。当時、ファヴローは「だから大作映画らしからぬ自然な雰囲気になる」のだと説明していたが、今回のジェフの発言を聞くかぎり、どうやら撮影現場はかなりの緊張感だったようで……。
米Vanity Fairのインタビューにて、ジェフはファヴローを「素晴らしい監督、最高のフィルムメーカー」と絶賛。アイアンマン/トニー・スターク役のロバート・ダウニー・Jr.とともに、ふたりを「おそるべき“即興屋”」だと称えてみせた。
「私たちは数週間を脚本作業とリハーサルに費やしていたんです。それは私たち自身がオリジナルの脚本を好きになれなかったからで、“ここを直そう、あそこを直そう”と。そして撮影初日を迎えたんですが、マーベルは私たちが作った脚本を却下して、“まるで良くない、こっちでやってくれ”と。もう大混乱でしたよ、脚本はどうするのか、私たち(役者)は何を言えばいいのかと。」
マーベルから脚本を却下されたファヴローとロバート&ジェフは、控え室のトレーラーにこもり、数時間をかけて台詞を検討し、どうやって成立させるかを考えたという。時には監督のファヴローが知り合いの脚本家に電話をかけ、アイデアを求めることもあったとか。「その間、スタッフはセットの中で“いつ撮れるんだろう?”って待っていましたよ」とジェフは話している。
今でこそ笑いながら当時を振り返っているジェフだが、当時は「本当にイライラしていた」という。それでも大きなトラブルに発展せず、なんとか事なきを得たのは、ジェフが自分で「少しだけ考えを変えた」からだった。「自分に対して“リラックスしろ、2億ドルの学生映画を作ってると思え、楽しむんだ”と。それでもうまくいったのは、ふたりの素晴らしいアーティストと一緒だったから。最終的には即興のセッションでした」。
公開から14年が経った現在、ジェフは『アイアンマン』を「もちろんバイアスはかかっているけれど、私にとってはマーベルの最高傑作。素晴らしい経験でした」とまで言っている。もっとも、最大の功労者はやはり監督のジョン・ファヴローだと考えているよう。「彼はスーツを扱い、また俳優も操れる脚本家。すべてができる素晴らしい人物です」と賛辞を送った。
Sources: Vanity Fair, Super Hero Hype