【ネタバレ】『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』キャプテン・アメリカとバッキーの再会はいかに演出されたか ― 『シビル・ウォー』以降の経緯

おそらくマーベル・シネマティック・ユニバースの観客にとって、映画『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』でのスティーブ・ロジャース/キャプテン・アメリカとバッキー・バーンズ/ウィンター・ソルジャーの再会は非常に大きなものだっただろう。親友にして相棒だった二人は、『キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー』(2011)以来はじめて、当時と同じ関係性で出会い直すのである。
二人が再会するシーンは、米国のTVスポットなどで劇場公開以前から時折アピールされてきた本編のハイライトだ。しかし劇中で、この再会がことのほかあっさりと描かれることに驚いた人も少なくないのではないだろうか。監督&脚本家チームは、この場面にまつわる製作エピソードを明かしている。
この記事には、映画『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』のネタバレが含まれています。すでに作品を鑑賞された方向けの内容となりますのでご注意下さい。なお、このページをSNSにてシェア頂く際は、記事内容に触れないようお願い致します。
キャップ、バッキーの治療を把握していた?
『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』(2016)に登場したバッキーは、ヒドラによる洗脳が完全に解けていない、まだ暗殺者としての精神が残った存在として登場した。物語の結末において、バッキーはしかるべき時まで、ワカンダの地にて冷凍睡眠に入ることとなる。
前日譚コミック“Marvel’s Avengers: Infinity War Prelude”には、その後のキャプテン・アメリカとバッキーの動向が描かれている。
ワカンダ国王ティ・チャラの妹にして天才科学者のシュリは、バッキーに高度な生体スキャンを行い脳の分析を実施。バッキーの記憶や人格などを消去するのではなく、暗殺者としての側面を呼び覚ます言葉の影響のみを排除しようと試みている。映画『ブラックパンサー』(2018)のポストクレジットシーンでは、冷凍睡眠から目覚めたバッキーが「ホワイトウルフ」と呼ばれる様子が描かれた。
かたやキャプテン・アメリカは、中東に逃れて、ナターシャ・ロマノフ/ブラック・ウィドウやサム・ウィルソン/ファルコンとともに反テロ活動に参加している。ここで重要なのは、『スパイダーマン:ホームカミング』(2017)でも言及されたように、彼が政治犯として追われる身になっていることだろう。
作り手たちが着目したのは、まさしくこの「逃亡者」という特徴だった。脚本家のスティーブン・マクフィーリーは、米Colliderのインタビューにて「2年のあいだ、ナターシャやサム、スティーブは反逆者でした。おそらく彼らにはワカンダに戻る理由があったと思います。そこに身を隠したり、また去っていったりね」と語っている。
またジョー監督は、米BUILDのインタビューにて「ストーリーに基づいてあらゆる判断を下していった」と明言。スティーブとバッキーの関係にも、『シビル・ウォー』からの2年間を反映させたことを明かしている。
「バッキーには治療のために十分な時間がありました。シュリは天才で、世界で一番賢いような人間ですから、長年誰も見つけられなかった治療方法を見つけたんですね。また逃亡生活を送っているスティーブは、シュリやティ・チャラと緊密に連絡を取りつづけていたはず。明らかに彼はどこかに隠れていたわけなので、何回かワカンダを訪れていたと思いますよ。そういうつもりであの(再会)シーンを演出しました。バッキーが目覚めてから、二人は初めて会ったわけではないんです。」
以前、脚本家のクリストファー・マルクスとスティーブンは、「映画で描けることをすべて書き出したら18時間ぶんになった」「逃亡中のスティーブたちを描く5時間の映画は作りたい、でもそれはできません」と語っていた。それゆえキャプテン・アメリカとバッキーの関係も必要最小限に抑えられ、その変遷は示唆される程度にとどまったというわけだ。
ちなみにColliderのインタビューにて、クリストファーはこんなジョークも交えつつコメントしている。
「少なくともキャップはバッキーの治療の様子を知ってたと思いますよ。たぶんスカイプしてたんじゃないですかね。」
映画『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』は2018年4月27日より全国の映画館にて公開中。
『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』公式サイト:http://cpn.disney.co.jp/avengers-iw/
Sources: Collider, BUILD, ComicBook.com(1, 2)