『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』なぜアダム・ウォーロックは登場しなかった? ルッソ監督、コミック映画化の信念明かす

マーベル・コミックのヒーローが揃い踏みし、サノスとの対決を繰り広げる映画『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』(2018)には、コミックファンにとっては意外な“欠席者”が存在する。原案となったコミック『インフィニティ・ガントレット』(ShoPro Books刊)で、物語に欠かせない役割を担っているアダム・ウォーロックだ。
米Collider主催の上映イベントに登場したアンソニー&ジョー・ルッソ監督は、ファンからの「どうしてアダム・ウォーロックを登場させなかったんですか? 今後出てくるのか、いずれ重要人物になるのか…」という問いかけに答えている。
「コミックをそのまま映画化したものは観たくない」
『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』の劇場公開時、脚本家のクリストファー・マルクス&スティーブン・マクフィーリーは、本作にアダム・ウォーロックが登場していない理由を「(登場させるのが)すごく大変だった」から、キャラクターの紹介として「単独映画が必要だと思った」からだと話していた。しかし今回、ジョー監督は異なる切り口でアダム不在の真相を明かしている。
「(ストーリーを考える際)僕たちの手元には、あらかじめ存在するキャラクターと、それからコミックのキャラクターがたくさんいました。僕はコミックのファンとして、数えきれないほど読んだコミックをそのまま解釈したものは観たくないんですね。映画館で、何が起こるのかをしっかり分かっているものは観たくないんです。僕にとって、それは映画を観に行くという体験を台無しにしてしまうものだから。」
ここで監督が明らかにしているのは、意図的にコミック『インフィニティ・ガントレット』とは内容を変更したということだ。アダム・ウォーロックがコミックで重要な存在だからといって、それだけでは映画に登場する理由にならないのである。
「ですから、とあるキャラクターがコミックで担っている物語を、(映画では)別のキャラクターに割り振ることもあります。あるいはコミックからインスピレーションを得ておいて、ストーリーは別物にしてしまう。そういう場合、マーベル・シネマティック・ユニバースで描きたいものにハマらないキャラクターも出てくるんですよ。」
ちなみに2018年5月、米ComicBook.comのインタビューにて、ジョー監督はこのようにも述べていた。
「僕たちの仕事はマーベル・シネマティック・ユニバースのストーリーを伝えることで、コミックの映画版を撮ることではありません。僕は映画監督として、すでに語られているストーリーを伝えたり、観たりすることには興味がないんです。
もし映画のストーリーや、そこで起きることをすべて知っているとして、それでも映画を観に行くことに何の意味があるんでしょう? 僕たちは観客を驚かせ続けたいし、『アイアンマン』(2008)で始まった(MCUの)物語を続けていきたいんですよ。」
来たる『アベンジャーズ/エンドゲーム(邦題未定、原題:Avengers: Endgame)』では、『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』の“その後”が描かれることになる。本編をご覧になった方ならばご存知のように、ここからの展開は正真正銘コミックファンにも予測不可能だ。アダム・ウォーロック不在という条件を自らに課して、ルッソ監督をはじめとする製作チームはコミックをどのように翻案し、新たな物語を生み出したのか? その全貌が明らかになるのも、すでにそれほど遠くはない。
映画『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』MovieNEXは発売中。『アベンジャーズ/エンドゲーム(邦題未定、原題:Avengers: Endgame)』は2019年4月26日(金)公開予定。
Sources: Collider, ComicBook.com(1, 2)