J・J・エイブラムスがドラマ「アトランタ」「フリーバッグ」を称賛する理由 ─ ドラマ界は「黄金期」、映画界と現状を比較

『スター・ウォーズ』新3部作などで知られるJ・J・エイブラムスが、世界的な人気を博しているドラマ「アトランタ」(2016-)と「フリーバッグ」(2016-2019)を称賛している。数々の映画作品を手がけるエイブラムスが、なぜ今これら2本を褒めているのか。その理由を、著名な脚本家たちが登壇するイベントScreenCraft Screenwriting Summitにて語った。
エイブラムスは、現在のテレビドラマ界を「黄金期」と捉えている。その理由として「才能ある人たちにチャンスが与えられているからです」との見解を示し、その中でもとりわけ代表的な2作品を取り上げたというわけだ。
地元の音楽シーンでの成功を夢見て奮闘する落ちこぼれの主人公を描いた「アトランタ」について、エイブラムスは「ジャンルや構成、登場人物、そして物語の視点、過去に全て行われてきたものではあるが、最も壮大なリスクを負っている」と表現し、その独特な語り口を評価。さらに、現代のロンドンを生きる1人の女性の心理を描いた「フリーバッグ」についても「驚くほど緻密に書き込まれている」と述べ、従来のラブストーリーや家族劇とは異なる物語だと称賛した。「アトランタ」は男優のドナルド・グローバー、「フリーバッグ」は女優のフィービー・ウォーラー=ブリッジが脚本・製作・主演を務めており、それぞれ“ドラマ界のアカデミー賞”と呼ばれるエミー賞を受賞している。
これまでに「LOST」(2004-2010)「FRINGE/フリンジ」(2008-2013)など、自身もドラマシリーズを手がけてきたエイブラムスは、上記2作のようなオリジナル性の高いドラマを評価する一方で、映画産業の中心地ハリウッドについても言及している。
「かつてのハリウッドは何かが起こる場所で、観た人が“これはすごいね。僕はこれが答えだと思う”とか、“私の解釈はこうです”なんて風に、人が考えられるような映画を生み出していたんです。現在のハリウッドは、その大部分で、スタジオが“これ、すごいね。そっくりそのままやってみよう”と言うような場所になってしまっています。」
たしかに、近年の映画界では過去の作品のリメイク版やリブート版が続々と製作される傾向にある。そうした中、映画よりもドラマでオリジナル性の高い作品が生み出されている状況に対して、エイブラムスは「観客はオリジナルの物語にとても強く反応していると思うので、映画もこれに続くことを願っています」とも語っている。
Source: IndieWire