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『ジョジョ・ラビット』トロント国際映画祭で最高賞「観客賞」受賞 ─ 『マイティ・ソー バトルロイヤル』タイカ・ワイティティ監督渾身の「反ヘイト風刺劇」

ジョジョ・ラビット
(C)2019 Twentieth Century Fox&TSG Entertainment

名門FOXサーチライト・ピクチャーズが贈る、『マイティ・ソー バトルロイヤル』(2017)のタイカ・ワイティティ監督最新作『ジョジョ・ラビット』が、第44回トロント国際映画祭の最高賞である「観客賞」を受賞した。

タイカ監督による渾身の“反ヘイト風刺劇”である本作は、笑いをもって戦争や憎悪、差別といったテーマをえぐりながら、ハートフル・コメディとして戦時下における人々の生きる喜びを描いた。物語の舞台は第二次世界大戦中のドイツ。主人公の少年ジョジョは、空想上のアドルフ・ヒトラーを父親代わりに立派な兵士を目指して奮闘していたが、ある日、シングルマザーの母親が自宅にユダヤ人の少女を匿っていることを知ってしまう…。

チャレンジングな設定とテーマ、そして独自のユーモアと人間ドラマの両立で知られるタイカ監督らしい作風ゆえだろう、『ジョジョ・ラビット』は批評家やジャーナリストの間で賛否が分かれたともいわれているが、一方で観客の心をがっちりと掴むことに成功したようだ。トロントでの観客賞受賞はまさにその証拠であり、本作が人の心に届く一本であることを示すものである。

ジョジョ・ラビット
(C)2019 Twentieth Century Fox

トロント国際映画祭の観客賞は、過去に『グリーンブック』(2018)や『スリー・ビルボード』(2017)、『ラ・ラ・ランド』(2016)などが受賞しており、いまや「もっともアカデミー賞に近い賞」とも称される。今回の受賞をきっかけに、『ジョジョ・ラビット』がアカデミー賞をはじめとする2019年の賞レース戦線で比類なき存在感を示すことは間違いないだろう。

なお、タイカ監督はトロントのプレミア上映で本作のテーマについてスピーチし、観客から絶賛を浴びた。「コメディ」や「風刺劇」というコーティングの内奥に込めた監督の思いは、ここからでも十分に感じ取ることができるはずだ。

「毎日、毎週、何気ない小さな間違いを、大したことではないと思って見過ごしていると、気がついた時には手遅れになり、恐ろしい結果を招きます。“些細なことだ、少数派の言っていることだ”と放置していると、過去の世界大戦のような大惨事が、取り返しのつかない過ちがまた起こってしまう。無知をそのままにして、忘れてしまう傲慢さこそが、人間の罪であり過ちなんです。この出来事を決して忘れないために、何度も何度も、語り継ぐ事が重要。私たちはどのように成長し、愛情を持ち、協力しながら前進していくのか。どんな未来を作り上げるのか。あらゆる方法で同じ物語を伝え直し、自分たちや次の世代に語り継いでいくことが僕たちの使命であり、大切なことだと考えています。」

少年ジョジョ役は新人ローマン・グリフィン・デイヴィス、母親ロージー役は『マイティ・ソー バトルロイヤル』にもカメオ登場したスカーレット・ヨハンソン。自宅にかくまわれる少女を『足跡はかき消して』(2018)の新鋭トーマサイン・マッケンジー、ナチスのキャンプ・リーダーを『スリー・ビルボード』(2017)でアカデミー助演男優賞に輝いたサム・ロックウェルが演じるほか、『ピッチ・パーフェクト』シリーズのレベル・ウィルソン、「ゲーム・オブ・スローンズ」(2011-2019)シオン役のアルフィー・アレン、『LOGAN/ローガン』(2017)のスティーヴン・マーチャントらが出演。脚本・監督・製作、そしてアドルフ・ヒトラー役はタイカ・ワイティティが務めた。

映画『ジョジョ・ラビット』は2020年1月全国ロードショー

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THE RIVER編集部THE RIVER

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