【ネタバレ】『ジョーカー』アーサーは◯◯◯◯を◯◯◯のか ─ 描かれざる事実、スタッフが明かす

この記事には、映画『ジョーカー』のネタバレが含まれています。
アーサー、ソフィーの部屋にて
『ジョーカー』の主人公アーサー・フレックは、母親ペニーと決して豊かではない生活を送っている。ペニーは、かつて使用人として働いていたウェイン家の長であるトーマスからの支援を待ち、手紙を書いていた。その手紙には、アーサーがトーマスとペニーの間に生まれた息子だと記されていたのだ。ここから自らの出自を探り始めたアーサーは、なんとペニーが自分の実母でなく、養子として迎えられただけだったのだと知る。
自身のアイデンティティにも結びついた繋がりが真実ではなかったという喪失感とともに、アーサーは同じマンションの隣人である恋人ソフィーの部屋を訪ねる。しかし、ソファに腰かけているアーサーを見つけたソフィーは悲鳴をあげて凍りついた。「アーサー、でしょ? 部屋を間違えてる」「お母さんを呼ぼうか?」。そこでアーサーは、ソフィーとのデートや、母親の病室で隣り合って座っていたことが、実は妄想にすぎなかったことを悟るのだ。劇中、アーサーはそのまま部屋を去ると、自室に戻っていく。部屋の外でサイレンが鳴り、ランプの灯りが見える……。
アーサーはソフィーを殺したのか、それとも殺さなかったのか。一部では“劇中最大の謎”ともいえる問いかけについては、観客の間でも賛否が分かれている。アーサーが自分を傷つけた人間を殺すのならば、ソフィーは殺されていても不思議ではないし、サイレンは何かが起きたことを示唆している。けれども、ソフィーとの恋愛はすべてアーサーの妄想だったのであって、ソフィーが実際にアーサーを傷つけたわけではない。
この謎についての回答を与えてくれたのは、撮影監督のローレンス・シャーだ。米/Filmのインタビューでは、このように語られている。
「アーサーとソフィーの関係は空想だったわけですが、“彼女は殺されたんですか?”と聞かれることがあります。トッド(・フィリップス監督)は、彼女は殺されなかったことを明らかにしています。アーサーが殺すのは、ある決まった形で、彼を不当に扱った人たち。ソフィーは決してアーサーを不当に扱ったわけではありません。」
シャーは観客の疑問をひとつ解消したことになるが、フィリップス監督やホアキン、そしてソフィー役のザジー・ビーツと同じく、シャーもまた、真実が曖昧であることにより、観客の解釈が多様になることが『ジョーカー』の面白さだと強調する。「何が本当で何がそうでないのか、僕たちは観客に解釈してもらいたいと思っていました」。
ちなみにシャーによれば、『ジョーカー』の場合、各シーンが真実かどうかを映像の面から見抜くことも難しい作りになっているそう。ソフィーの存在をめぐって、映画前半のシーンと(真実の)回想が呼応する場面や、シーンに共通するイメージをヒントとして使用していることを除き、視覚的にも答えを用意していないというのだ。「みなさんが議論できて、それぞれの結論にたどり着けるのが良いと思っています」という言葉からは、ソフィーの生死を明かしたのが極めてイレギュラーであることがうかがえる。
なおフィリップス監督は、『ジョーカー』の脚本を執筆する際に意図していた「真実」について、「いずれお話しすることにします」と語っている。もっとも、それはまだずいぶん先のことになりそうだが。
映画『ジョーカー』は2019年10月4日(金)より全国公開中。
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