『ジョーカー』ベネチア映画祭金獅子賞、監督から喜びのコメント到着 ─ 「製作に多くの反対あった、この映画を誇りに思う」

DCコミックス原作、ジョーカー誕生の物語をホアキン・フェニックス主演で描く『ジョーカー』が、2019年9月7日(現地時間)、第76回ベネチア国際映画祭コンペティション部門の授賞式にて最高賞となる金獅子賞を受賞。このたびトッド・フィリップス監督のコメントが到着した。
『ジョーカー』は2019年8月31日(現地時間)に世界初上映を迎えるや、本年の映画祭屈指の喝采を浴び、8分間のスタンディングオベーションが巻き起こった。世界三大映画祭(カンヌ国際映画祭、ベルリン国際映画祭、ベネチア国際映画祭)でアメコミ映画が最高賞を受賞するのは史上初の快挙。世界の価値観を揺さぶる“狂気の犯罪王子”が、早くも映画界の価値観をひっくり返し始めた。
壇上にてトッド・フィリップス監督が、「ホアキン・フェニックス抜きでこの映画はありえませんでした」と主人公アーサー・フレック/ジョーカー役のホアキン・フェニックスに敬意を表すと、会場からは盛大な拍手が巻き起こった。「ホアキンは僕が知る中で最も凶暴で、最も勇敢で、最も心の広いライオンです。そして美しい心の持ち主です。“狂気の才能”とともに私のことを信頼してくれてありがとう」。金獅子賞にちなんで謝辞を述べると、ホアキンは「Grazie. Grazie mille.(イタリア語:ありがとう。本当にありがとう)」と返している。
『ジョーカー』で監督はホアキンをイメージして脚本を執筆。撮影の6ヵ月前から話し合いを重ね、撮影の日々も最後までジョーカーに関する発見があったという。ホアキンとトッド監督が築いてきた信頼関係が、栄光の金獅子賞に結び付いた。審査員を務めた映画監督メアリー・ハロンは、「ホアキンの素晴らしい演技には非常に感銘を受けました。映画祭のルールがなければ男優賞に輝いていたでしょう」とコメント。上位賞をダブル受賞できないという規則さえなければ男優賞を受賞していたであろうことを示唆した。

トッド監督は「映画が完成した時はいろんな感情があり、作品で伝えたいことを観客は理解してくれるだろうかという不安もありました。ワールドプレミアで、映画祭の観客は私たちが表現したかったこと、伝えたかったことを理解してくれたと感じました」と述懐する。「アメリカや世界中でも同じように受け入れてもらえることを期待しています。ホアキンと僕はこの映画を誇りに思っています」。また監督は、「私たちはこの映画に誠心誠意努力しました。驚かれるかもしれませんが、この映画を作ることには多くの反対がありました」と述べ、「本当に誇りに思います」と語っている。
今回の受賞はトッド監督やホアキンの実力のみならず、監督が“最も信頼するパートナー”だという、『ハングオーバー!』シリーズや『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』(2019)などの撮影監督ローレンス・シャー、『アメイジング・スパイダーマン 2』(2014)など映画・テレビ界で卓越したキャリアを誇る美術監督マーク・フリードバーグ、『アーティスト』(2011)『ファントム・スレッド』(2017)でアカデミー賞を射止めた衣装デザイナーのマーク・ブリッジスら各所の仕事ぶりが評価された結果だ。アメコミ映画としての枠を超え、早くも歴史を変える完成度の高さが証明されたのである。
なお本作は、すでに世界各国にて観客や批評家から絶賛の声が続出。ベネチア国際映画祭ディレクター、アルバート・バルベーラ氏は先日も「ジャンルの限界を超えています」「アカデミー賞も大きな見込みがある」と述べ、DCコミックスの重鎮ジム・リー氏も新たなジョーカー像に感銘を受けたことを認めていた。例年、金獅子賞の受賞作が賞レースで話題をさらっていることからも、やはり本作はアカデミー賞をはじめとする賞レースで大きな存在感を示すことになるだろう。いよいよ、世紀の問題作、世紀の話題作が動き出す。
映画『ジョーカー』は2019年10月4日(金)日米同日、全国ロードショー。
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