『ジョーカー』続編企画が始動か、米国で情報が錯綜 ─ トッド・フィリップス監督とワーナーの面会は事実、超初期段階の可能性

米ワーナー・ブラザースが、DCコミックス映画『ジョーカー』(2019)の続編企画を始動させたという報道が、米国メディアやファンの間で大きな話題を呼び、現地メディアを中心に複数の情報が錯綜している。
『ジョーカー』は2019年10月4日に日米同時公開され、世界各国で大ヒットを記録。暴力的かつ過激な内容ゆえ、大手市場である中国での公開は実現しない見通しだが、それにもかかわらず全世界興行収入10億ドルの大台を突破。R指定作品としては史上初の快挙を打ち立てた。当初、『ジョーカー』はこの1本限りの作品として製作されていたが、これほどの大ヒットとなった以上、スタジオが続編に意欲を示すのは自然なことといえる。
続編製作の話題を最初に報じたのは、業界屈指の大手メディアである米The Hollywood Reporterだった。すでにワーナーはトッド・フィリップス監督と再登板に向けた話し合いに入っており、実現の場合は共同脚本のスコット・シルバーも続投すると記したのだ。また、主人公アーサー・フレック役を演じたホアキン・フェニックスにも続編についての提案がなされているとも。
ところが、これに対して、他の大手メディアはトーンの異なる続報を伝えている。たとえば米Varietyは、フィリップス監督&シルバーが続編のアイデアを検討するためワーナーと面会したことは事実だが、話し合いは超初期段階であり、契約はなされておらず、ストーリーも決まっていなければ脚本も執筆されていないとした。米Deadlineも、続編についての契約は一切なく、フィリップス&シルバーは交渉段階に進んでいない、現実的な動きはないと記している。

以前から、フィリップス監督とホアキンは『ジョーカー』続編に消極的であることを強調してきた。しかし、2人は再タッグに強い意欲を示しており、ホアキンも『ジョーカー』が特別な作品であることを認めて「(ジョーカーについて)ずっと考えてしまう」「この役柄の可能性は無限」とも語っている。とはいえ、ホアキンは先日も「前作がヒットしただけではやりません」と話しており、現時点で続編が実現するかどうかは未知数。相変わらず、すべてのカギはフィリップス監督のアイデアにありそうだ。
なおThe Hollywood Reporterによれば、『ジョーカー』米国公開直後の10月7日、フィリップス監督はワーナーのトビー・エメリック会長に“DCキャラクターのオリジンを描く作品をいくつも製作する”とのアイデアを提案。関係者によれば「監督は最低1作品の権利を得た」とされる。しかし、この報道をVariety、Deadlineはきっぱりと否定。Deadlineによると、「10月7日にフィリップス監督とエメリック会長が会ったことは事実だが、フィリップスはDC映画の指揮を考えたことさえない」という。
ちなみに先日、フィリップス監督は米The Los Angeles Timesに対し、続編の可能性について「“狂気の犯罪王子”を描く大胆でクレイジーな映画、というものはできません。今回と同じような主題の深みが必要でしょう」と語っていた。「結局のところ、それが根底にあったからこそ、この映画は(人々に)繋がったのだと思うんです。多くの映画が“火花”なら、この映画は“火薬”でした。そういう部分をリアルな形で再び捉えられるなら、面白い作品になるでしょうね」。
映画『ジョーカー』は2019年10月4日(金)より全国公開中。
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Sources: The Hollywood Reporter, Variety, Deadline, The Los Angeles Times