【ネタバレ】『ジョーカー』隣人ソフィーの削除シーンが判明 ─ 映画終盤、さらなる出番が検討されていた

この記事には、映画『ジョーカー』のネタバレが含まれています。
隣人ソフィー、さらなる出番があった
『ジョーカー』の主人公アーサーは、母親を介護しながら、決して豊かとは言いがたい生活を送っている。隣人女性ソフィーは、そんなアーサーの心の支えとなる人物だ。エレベーターで出会ったソフィーにアーサーは好意を寄せ、やがて2人は交際を始める。しかし、自身の出生にまつわる真実を知ったアーサーが、絶望の中でソフィーの部屋を訪ねた時、その事実は崩れ去った。ソファに腰かけるアーサーに気づいたソフィーは悲鳴をあげ、「アーサー…でしょ? 部屋を間違えてる」と一言。怯えるソフィーを目の前にして、アーサーは、ソフィーとのデートや、母親の病室に2人で座った思い出が妄想にすぎなかったことを悟るのである。
『ジョーカー』公開直後から、ソフィーの運命については観客の間でいくつもの解釈がなされていた。アーサーはソフィーの部屋を去ると自宅に戻っているが、部屋の外ではサイレンが鳴り、ランプの灯りも見えるのだ。サラリーマンや母親、元同僚を劇中で殺しているアーサーは、ソフィーも殺してしまったのだろうか。
この疑問について、撮影監督のローレンス・シャーは、以前「ソフィーは殺されていない」と述べていた。このたびフィリップス監督も、米IndieWireのインタビューで「間違いなく、アーサーはソフィーを殺していません」と語っている。
「フィルムメーカーとして、脚本家として、アーサーは彼女を殺していないと言いましょう。(この映画は)観客に“アーサーはどれくらい狂っているのでしょうか?”と問うテストのようで、それが面白いと思っているんです。僕が話した人の多くは、ソフィーは殺されていないと考えていました。なぜなら、アーサーは自分を不当に扱った人たちだけを殺すのだと捉えていたからです。彼女はそんなことはしていませんよね。
たとえ悪人であったにせよ、彼は明らかなルールに基づいて生きている。多くの方々はそのことを理解してくださっています。だから、もちろん彼は廊下の先に住んでいる女性を殺したりはしていません。」
そしてフィリップス監督は、本編に存在しないソフィーの削除シーンを明かしている。劇中でソフィーが最後に登場するのは、自室でアーサーと対面する場面だ。しかし脚本段階では、その後、ジョーカーがマレー・フランクリン(ロバート・デ・ニーロ)のトーク番組に出演する様子をソフィーが見ているというシーンが存在したという。もしも残っていれば、アーサーがソフィーを殺していないことを証明することになっていただろう。

このシーンをカットすることを決めたのは、監督がアーサーの視点から物語を描くことを大切にしたがゆえ。『ジョーカー』は“信頼できない語り手”であるアーサーの目線で全編が展開していくため、そこで描かれる出来事の“真実”は曖昧なままだ。しかし、アーサーがマレーと共演しているさなか、ソフィーがテレビを見ているシーンを挿入すれば、それは「アーサーが知らないはずの事実」を示す場面となってしまうのである。
なお本作では、アーサーが同僚のランダルと言葉を交わすシーンがカットされているほか、クライマックスのトークショーの場面も一部削除されていることが判明済み。ただしフィリップス監督は「完全版とか、削除シーンとか、大っ嫌いなんですよね」「削除したシーンをお見せすることはないでしょう」と述べて、今後お披露目する可能性をひとまず否定している。
映画『ジョーカー』は2019年10月4日(金)より全国公開中。
Source: IndieWire