『ジョン・ウィック:コンセクエンス』ロシアで「鉄のカーテン」越えて異例の上映開始

『ジョン・ウィック:コンセクエンス』は日本が舞台の一部となりつつ、日本公開は海外から約半年後の2023年9月予定だ。その一方でロシアでは、“鉄のカーテン”を越えて早くも上映が実現している。米Deadlineがその背景をレポートした。
ロシアがウクライナに軍事侵攻を開始した2022年2月以来、アメリカの大手映画スタジオは作品のロシア公開を自粛してきていた。この措置は過去1年間続いていたが、『ジョン・ウィック:コンセクエンス』が“鉄のカーテン”を突破。3月23日より上映されると、前作『パラベラム』を33%上回る興収430万ドルの好発進を切った。
本国配給のライオンズゲートはアメリカ以外ではイギリスと中南米のみを担当しており、それ以外の海外では配給権を売却することで収益を得ている(日本ではシリーズ1作目以来ポニーキャニオンが権利を有している)。異例のロシア上映に至った背景には、ライオンズゲートがロシアのウクライナ侵攻以前に同国上映についての契約を締結していたことがあるようだ。
ロシア配給を手掛けたのはUnicorn Media Limitedという名の非公認ディストリビューターで、以前よりライオンズゲートと協力関係にあったとのこと。スタジオは米国務省に協力を仰ぎ、いくつもの手続きをクリアしてまで、早期のロシア上映を実現させた。なおライオンズゲートはロシアとの新規取引は引き続き停止しているものの、既存のクライアントとの取引は履行する方針だという。

『ジョン・ウィック:コンセクエンス』でどうかはわからないが、そもそも『ジョン・ウィック』シリーズではロシア人が悪役のマフィアとして登場したことが物語の起点。そればかりでなく、現実の米露間にある緊張を乗り越えてロシア上映が実現した一方で、作中舞台の一部となり、日本人キャストら(真田広之とリナ・サワヤマ)が出演したことも快挙も大いに祝福すべき日本では、上映までさらにあと約半年を要するという皮肉な事態となった。シリーズ次作の構想を日本のバーで練るなど大の新日家であるチャド・スタエルスキ監督も、「どういうわけだか、『ジョン・ウィック』はなぜかいつも日本では公開が遅い」と疑問符を示した。
日本公開時には海外版ホームエディションも流通・入手可能となり、本作の話題もさすがに収束していると予想される。SNSを中心に拡散されるファンの不満の声が作品の満足度や口コミに悪影響を及ぼすリスクも無視できないため、日本公開時は独自のポジティブな話題を作る必要性がありそうだ。
▼ 『ジョン・ウィック:コンセクエンス』の記事
「『ジョン・ウィック』はリアリティがない」批判に監督が応答 ─ 「キアヌと僕はジョークをやっている」 『ジョン・ウィック』的ユーモア論 『ジョン・ウィック9』までのアイデアが存在?チャド・スタエルスキ監督、ノートに書き溜める 「金儲け」には興味なし 『ジョン・ウィック:コンセクエンス』にはディレクターズ・カット版が存在する ─ 「10~15分ほど」の未公開シーンあり お披露目はいつ? 【ネタバレ】『ジョン・ウィック:コンセクエンス』階段アクション、キアヌ・リーブスがほとんどやっていた すごすぎ 【ネタバレ】『ジョン・ウィック:コンセクエンス』序盤の衝撃シーン、なぜ必要だったのか ─ 裏テーマは「葉隠」、「絆の話」と監督 深すぎる
Source:Deadline