『ブラックパンサー』監督、「ブラックパンサー党」指導者暗殺を描く実話映画を製作 ─ 『ゲット・アウト』ダニエル・カルーヤが出演交渉中

『ブラックパンサー』(2018)のライアン・クーグラー監督が、1960年代後半から1970年代前半にかけて活動していた「ブラックパンサー党」を代表する人物フレッド・ハンプトンを描く実話映画『Jesus Was My Homeboy(原題)』をプロデュースすることがわかった。米Deadlineが報じている。
報道によれば、主人公フレッド・ハンプトン役として、『ブラックパンサー』ウカビ役や『ゲット・アウト』(2017)のダニエル・カルーヤが契約交渉に入っているとのこと。フレッドを裏切った重要人物ウィリアム・オニール役には、ドラマ「アトランタ」(2016-)やNetflix映画『Death Note/デスノート』(2016)、『ゲット・アウト』のキース・スタンフィールドが同じく契約交渉中だという。

ブラックパンサー党とフレッド・ハンプトン
1966年、黒人民族主義運動・黒人解放運動を展開する「ブラックパンサー党」は、貧しい黒人の居住するゲットーを警官たちから自衛するためにカリフォルニア州オークランドにて結成された。急進的政治組織であり、暴力主義によって闘争をいとわなかったブラックパンサー党は、治安維持を第一とするFBIや検察・警察当局にとって脅威となっていく。
党の指導者だったフレッド・ハンプトンは、民族に縛られず団結することを説いた人物であり、相手を問わず語りかけることのできる弁論術とカリスマ性をもっていたといわれる。党のイリノイ州代表を務めていたハンプトンは、その優秀さゆえにFBIに目を付けられ、1969年、FBIとシカゴ市警によって暗殺された。FBIの送り込んだスパイによって催眠薬を摂取させられていたハンプトンは、眠りに就いていた深夜4時ごろ、武装した警官隊の襲撃を受けて、無抵抗のまま銃撃されたという。警察はハンプトン側が先に発砲したと発表したが、のちに複数の調査によって、これは国による暗殺だったと指摘されている。
ラキース・スタンフィールドが演じるとみられるウィリアム・オニールは、FBIによってブラックパンサー党にスパイとして送り込まれた人物だ。1968年当時、自動車の窃盗などで逮捕されていたウィリアムは、自身がスパイとして活動することを引き受けたのである。ウィリアムはフレッドの自室にある家具の配置などをFBIに提供し、暗殺直前の夕食時にフレッドの飲み物へ催眠薬を混入した。1990年、ウィリアムは暗殺に関与したことを認めたのちに自ら命を絶っている。
『Jesus Was My Homeboy』では、フレッドの華々しい日々と早すぎた死がウィリアムの視点から描かれるという。FBIがいかにしてブラックパンサー党にスパイを送っていたのか、スパイの当事者はどのような心理状態にあったのか、そして21歳の若さで殺害された活動家の暗殺事件はどのようなものだったのか……。
製作は米ワーナー・ブラザースが担当し、プロデューサーにはライアン・クーグラーのほか、『マッドバウンド 哀しき友情』(2017)のチャールズ・D・キングが名を連ねた。脚本・監督はインディペンデント映画やテレビドラマで活躍する新鋭シャカ・キング、共同脚本はウィル・バーソンが務める。
映画『Jesus Was My Homeboy(原題)』の撮影・公開時期は未定。
Source: Deadline