『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』一部映画館が途中休憩を独自導入、配給側「規約違反」と上映取りやめを要請

マーティン・スコセッシ監督最新作『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』の上映にあたり、一部の映画館でインターミッション(途中休憩)が独自に設けられていたことが分かった。これが規約違反だとして、配給を担当する米パラマウント・ピクチャーズと製作の米Apple Original Filmsが介入する事態となっている。
『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』の上映時間は3時間26分。3時間を超える映画ではインターミッションが設けられることもあるが、本作では制作側のこだわりにより導入されなかった。
米Varietyによれば、2023年10月27日時点で、ヨーロッパの映画館チェーン2社とオランダ・アムステルダムの独立系映画館が、インターミッション込みのチケットを販売。ドイツ、イタリア、ポルトガル、ブラジルなどに展開するドイツの映画館チェーンUCI Cinemasは、80近くの映画館で「映画の折り返しにかけて6分間のインターバル」を導入したとのこと。IMAX上映に関しては、インターミッションは設けられなかった。
また、アメリカ国内でも同様のケースが報告されており、コロラド州にある映画館The Lyricは2023年10月26日までインターミッション上映を実施。米Deadlineによれば、「(アメリカ)国内におけるライセンシング規約に違反している」との理由により、配給担当のパラマウント・ピクチャーズと製作の米Apple Original Filmsが上映の取りやめを要請したという。2社は同映画館に対し、「映画を分割することは契約違反で、『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』を意図された通りに上映する」ことを伝えたとされている。
1967年の初期作『ドアをノックするのは誰?』 からスコセッシ作品に携わり、本作にも参加した編集のセルマ・スクーンメイカーは、英The Standardに「インターミッションを設けて映画を上映されていることを耳にしましたが、これは正しい判断ではありません」とコメント。「違反行為」だと断言した。
本件に関して、スコセッシ監督からは声明は発表されていない。以前スコセッシは、3時間26分の上映時間が長すぎるという声に対して、「テレビの前で5時間座って観ることができる人もいる」「シネマに、少しばかりの敬意を払っていただきたい」と語っていた。
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Source:Variety, Deadline, The Standard