【ネタバレ】「ロキ」第4話ラスト、ロキの行動に込められた思い ─ 「核」となったアイデンティティの確立、制作陣が解説

マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)ドラマ「ロキ」の第4話『分岐イベント』では、そのタイトル通りストーリーの道筋を大きく分かつようなビッグイベントが幾つか訪れた。その1つとして、ロキはある告白をする。
これまで『マイティ・ソー』『アベンジャーズ』シリーズでは描かれてこなかったロキの新たな一面を見せることになった該当のシーン。脚本を手がけたマイケル・ウォルドロンは「核となる」出来事の1つであったと説明している。
この記事には、「ロキ」第4話『分岐イベント』のネタバレが含まれています。

第4話では、ロキとシルヴィに大きな関係の変化が見られた。破滅を迎えるラメンティスで死を待っていたふたりは、メビウスに居場所を突き止められ、TVA本部に連れ戻されることとなった。同じ時間を共に過ごすうちに距離を縮めるようになったロキとシルヴィは、囚われの身となった後も互いを気にかける素振りを見せる。
その後、タイムキーパーのもとに連行され、ともに戦ったロキとシルヴィ。タイムキーパーを打倒してもなお問題は解決せず、打ちひしがれていたシルヴィに、ロキは「最後に1つ言いたいことがある」と肩を掴む。しかし、TVAの裁判官ラヴォーナに剪定されてしまったロキは、言えずじまいで姿を消してしまった。
言葉こそ聞き取れなかったものの、この後ロキがシルヴィに愛を伝えようとしていたのは自明だ。シルヴィは女性の姿をしたロキ自身。いわばロキは自分自身と恋に落ちてしまったということになる。ロキの初恋を通して、制作陣は何を伝えたかったのか。米Marvel.comにて、ウォルドロンは以下のように意図を語る。
「私がピッチ(提案)したものなかで核となるものの1つでした。ラブストーリーを描くということです。これに関しては、“私たちは本当にこの男を別バージョンの自分自身に恋させたいのか?クレイジーすぎるかな?”というように、何度か行きつ戻りつしてました。けど私にとっては、究極的にそれは自己愛であり、内省であり、自分自身を許すことなんです。ロキの真の初恋としてふさわしいように感じたんです。
2人が共有した瞬間は、友情として始まりました。それから初めて、2人は“これは、違うほかの何か(感情)なのかもしれない。何なんだ、この気持ちは?”というような疼(うず)きを感じるようになるんです。同じ人間である2人がもう片方に恋をするという“純粋なカオス”なんですよ。これこそ垂直に伸びた枝分かれであり、まさしくTVAを恐れさせることなんです。」
ずっと一匹狼で生きてきたロキは、ラメンティスで絶望を目の当たりにし、その瞬間をシルヴィと共有したことで、心の底からの“信頼”を知った。その気付きは、TVAに戻ったあと、メビウスに尋問されたロキが「僕はナルシストだ」と認めたことにしっかりと裏付けられている。ロキを演じてきたトム・ヒドルストンも、「ロキはこれまで、自分自身とすごく健康的な関係にあったとは思えません」と話した上で、ロキの告白がもたらした意義を説明している。
「彼がずっと避け続けてきた自分自身の中のそういった側面を認めることで、すごく興味深いやり方で(自分との関係を)考えるきっかけになったと思います。シルヴィはロキではなく、シルヴィはシルヴィなんです。それも興味深いことですね。」
本作のテーマを1つ挙げるとすれば、アイデンティティの探求だ。悪戯の神としての自分を貫いてきたロキは、全く異なる自分(=シルヴィ)と出会い、自己と向き合わざるを得なくなった。監督を務めるケイト・ヘロンの説明を聞くと、この告白のシーンが、ロキが自分のアイデンティティを確立させた瞬間だと思わされる。
「彼以外に良い組み合わせはあるでしょうか?この作品の全てはアイデンティティなんです。彼についてを描いているんです。彼はこれまでと全く違う道を歩み、違う旅に出る。彼はシルヴィに対して“これは僕も経験したな。君の考えていることは分かるよ”と知ったような態度を取りますが、彼女は“私はそのようには感じない”って返します。それが面白いんです。彼女は彼であり、一方で彼ではない。ふたりは全く違う人生経験をしてきましたから。アイデンティティの観点から、そういったことを掘り下げられたのは興味深かったです。」
剪定されてしまったロキのその後は、ミッドクレジットシーンで描かれている通り。ロキとシルヴィが再会を果たすことになるかは定かでないが、ウォルドロンが説明したように、“垂直に伸びた枝分かれ”を作り出そうとするふたりは、今やTVA最大の敵と言えるだろう。TVAが定める神聖時系列では、同じ人間、つまりオリジナルと変異体が同時に生きることはできないはずだが、ロキとシルヴィはどのような運命を辿ることになるのだろうか……。
ディズニープラス オリジナルドラマシリーズ「ロキ」は配信中。
Source: Marvel.com