『君の名前で僕を呼んで』『サスペリア』監督、名作文学『蠅の王』映画化交渉中 ─ 孤島に取り残された少年たちの暴走と狂気描く

『君の名前で僕を呼んで』(2017)、リメイク版『サスペリア』(2018)を手がけた名匠ルカ・グァダニーノ監督が、ウィリアム・ゴールディングの名作文学『蠅の王』を映画化する企画の契約交渉に入っているという。米Varietyが報じた。
『蠅の王』は、飛行機事故によって絶海の孤島に取り残されてしまった男子学生たちが、グループに分かれて対立しはじめ、やがて凶暴性をむき出しにして残忍な粛清劇へと突き進んでいく物語。のちに『バトル・ロワイアル』や『ハンガー・ゲーム』シリーズなどにもつながる、青春残酷劇の原点として知られる1954年発表の傑作で、過去には1963年、1990年に映画化されている。
今回の映画化企画は、米ワーナー・ブラザースは2017年に原作の映画化権を取得したことで始動したものだ。グァダニーノ監督のパートナーであるプロデューサーのマルコ・モラビートのほか、エグゼクティブ・プロデューサーとして、『キャプテン・マーベル』(2019)を執筆したニコール・パールマン&ジェネバ・ロバートソン=ドウォレット、実写映画版『ハローキティ(仮題)』のリンジー・ビアーも契約交渉に入っているという。交渉成立の場合、パールマン&ドウォレット&ビアーは自身の製作会社Known Universeを通じて参加する見込みだ。
以前、ワーナーは『蠅の王』を女子学生たちの設定で映画化すると伝えられていたが、このアイデアは見送られているとのこと。監督およびプロデューサー陣の交渉が成立した場合、原作に忠実かつ、現代的で映画的なストーリーを目指して企画が進められるという。自然を美しく切り取りながら、人間の心理や残酷さを描くことも避けて通らず、複雑なテーマを物語に織り込んでみせるグァダニーノ監督は、現代に『蠅の王』を甦らせるにはぴったりの人選だろう。
なお、グァダニーノ監督は次回作として米HBO局のドラマシリーズ「We Are Who We Are(原題)」を手がけるため、現在は同作の準備中。『蠅の王』の監督就任が決まった場合も、企画の本格始動はシリーズの完成後になるとみられる。
Source: Variety