完璧な優等生か、それとも怪物か ─ 『ルース・エドガー』予告編&ポスター公開、移民の高校生めぐるサスペンス

理想的な黒人高校生ルースは完璧な優等生か、それとも恐ろしい怪物か。人間の本質とアメリカの現実をえぐる、サスペンスフルなヒューマンドラマ『ルース・エドガー』が2020年5月15日(金)に公開される。これに先がけて、予告編とポスタービジュアルが到着した。
アフリカ・エリトリア出身の高校生、ルース・エドガーは文武両道に秀でた17歳の高校生。幼少期に戦場へ駆り出されたトラウマを克服した彼は、自由の国アメリカで、さまざまなルーツを持つ生徒たちの誰からも慕われる、いわば希望を象徴するかのような存在に成長した。しかし、とある課題のレポートをきっかけに、ルースは同じアフリカ系の女性教師ウィルソンと対立。危険な過激思想に染まっているのでは、という疑惑をかけられ、順風満帆の日常が揺らぎはじめる。ルースの養父母である白人夫婦エイミーとピーターも疑念を抱くなか、ウィルソンの身に奇妙な事件が降りかかり……。果たしてルースは本当に“完璧な優等生”なのか、それとも世間を欺く“恐ろしい怪物”か。
「僕の元の名前は発音が難しく、父が “名前を変えよう”と。それが“ルース”、光という意味です」。ルース・エドガーは成績優秀なスポーツマンで、誰とでも分け隔てなく接するオープンな人柄。バラク・オバマの再来とも称されるほどの存在だ。しかし、ルースのロッカーから違法の花火が見つかったこと、提出したレポートに「意見の対立は銃で解決する」という表記があったことから、ルースの生活と立場は揺らいでいく。予告編には、ルースが「みんなにとって、僕は聖人でなきゃ怪物だ」と口にする姿、教師ウィルソンに「先生は僕という人間を全く分かっていない」と告げる様子も捉えられている。
J・C・リーの同名戯曲を映画化した本作は、深刻な矛盾をはらむアメリカ社会の現状をリアルにえぐり出し、人間存在そのものに切り込んだヒューマンドラマ。2019年サンダンス映画祭におけるプレミア上映で絶賛を博し、全米の賞レースで20以上のノミネートを達成した。人種・容姿・階級・学歴・思想・信仰。いったい、人間の価値は何によって決定されるのか。誰からも称賛される少年の“知られざる真実”をめぐって展開するサスペンスフルな物語は、観る者の好奇心をかき立てるにとどまらず、内なる潜在意識を揺さぶり、先入観を根底から覆す。

主人公ルース役は『イット・カムズ・アット・ナイト』(2017)や『WAVES/ウェイブス』(2020年4月10日公開)のケルヴィン・ハリソン・Jr.。ルースと敵対する教師ウィルソン役を『ドリーム』(2016)『シェイプ・オブ・ウォーター』(2017)のオクタヴィア・スペンサー、ルースの養父母役はナオミ・ワッツ&ティム・ロスという実力確かな俳優陣が演じた。監督・脚本は『クローバーフィールド・パラドックス』(2018)のジュリアス・オナー。ナイジェリア出身のアフリカ系移民であり、物語の舞台となったバージニア州アーリントンで育った新鋭だ。
映画『ルース・エドガー』は2020年5月15日(金)ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国公開。