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「マーベル映画はサウンドの趣味が悪い」 ─ 『ブラック・ウィドウ』の候補だった監督「まだ観ていない」

ブラック・ウィドウ
(c)Marvel Studios 2021

マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)映画『ブラック・ウィドウ』(2021)の監督候補として検討されていた映画監督、ルクレシア・マルテルが再びマーベル映画に辛辣なコメントを寄せた。米The Film Stageにて、本人がスタジオと面会した当時を振り返りながら語った。

アルゼンチン出身のルクレシア・マルテルは、『サマ』(2017)や『頭のない女』(2008)『沼地という名の町』(2001)など、日本ではなかなか鑑賞の機会がないものの、優れたフィルモグラフィで知られる名匠。マーベル・スタジオは『ブラック・ウィドウ』の企画中、作品とキャラクターに合う女性監督を求めており、マルテルを含む女性監督たちと面会し、最終的にケイト・ショートランドを起用した。

2018年、マルテルは『ブラック・ウィドウ』の機会を自ら断ったことに触れて、スタジオから「アクションシーンはこちらで引き受けるから心配しないで」と言われたことに違和感を表明していた。当時、マルテルは「企業は女性監督を求めているのに、まだアクションは男性監督のものだと思っている」として、自らアクションを撮りたかったと語ったのである。

今回、マルテルは「マーベルから連絡が来るとはまるで思っていなかった」と述べ、『ブラック・ウィドウ』のために多くの女性監督が集められたこと、自分もそのうちの一人だったことを明かしている。「彼らと一緒に映画を作りたかったけれど、私はあの世界で自分が観たいものを作らなければいけないと思った」。大きな課題は、マルテルがマーベル映画のVFXや音楽、音響効果に満足していなかったことである。

「マーベル映画は飛行機の中で何本か観ていますが、本当にサウンドの趣味が悪いと思うんです。特殊効果も、音響効果もそう。音が効果に直結しているものが多くて、観ていられませんよね。音楽の使い方も本当にひどい。」

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このコメントは、2018年当時にマルテルが語っていたこととほぼ同じだ。マーベルと面会したマルテルは、最初に特殊効果を自分なりに変えたいと申し出たという。当時も「サウンドトラックがひどい。マーベル映画は観ていて、聞いていてつらい」と言っていたから、その思いはまったく変わっていないのだろう。そんな印象がありながら『ブラック・ウィドウ』の面会に向かったのだから、それ自体がチャレンジングだったというほかない。

ちなみに、マルテルは完成した『ブラック・ウィドウ』を「まだ観ていない」とのこと。「観ようとはしました」とも言っているあたり、複雑な胸中もうかがえる。

Source: The Film Stage, The Pioneer

Writer

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

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