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【考察】マーベル世界の住人、なんでアベンジャーズの出来事知ってるの問題 ─ 「ミズ・マーベル」アベンジャーズ・コンで考える

ミズ・マーベル
(C)2022 Marvel

配信開始となったマーベル・シネマティック・ユニバースのドラマ「ミズ・マーベル」では、アベンジャーズに憧れる女子高生の主人公カマラ・カーンの物語がフレッシュに描かれる。

カマラは第1話「ジェネレーション・ホワイ」で、コミコンのようにアベンジャーズのファンが集うイベント「アベンジャーズ・コン」に参加する。そこでは、アベンジャーズのヒーローたちや彼らの名ゼリフを模したアイテムが登場。例えば、キャプテン・アメリカのプリケツが描かれたイラストや、同じくキャップの名ゼリフ「I Can Do This All Day(まだやれる)」が描かれたポスターイラストが販売されていた。

キャップのプリケツは、『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019)でスコット・ラング/アントマンが言った「アメリカのケツ」のジョークに由来するものだろう。「I Can Do This All Day」のセリフも合わせて、これらはその現場にいたアベンジャーズのメンバーしか知り得ない情報のはずである。それなのに、なぜ一般にまで知れ渡っているのだろうか?

ミズ・マーベル
(C)2022 Marvel

考えられる説としては、MCU世界の中でアベンジャーズには広報機能が存在するということだ。「I Can Do This All Day」は『キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー』(2011)と『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』(2016)に登場したセリフだが、状況的にこのセリフを知っているのは、スティーブ・ロジャースとトニー・スタークだけのはず。このふたりのいずれかが現役の頃、例えばマスコミに対して「スティーブが戦いの中で『I Can Do This All Day』と発した」ことを伝えたのではないだろうか。

アベンジャーズとその関係者はソコヴィア協定の前後で、パブリックイメージの維持と改善に努めようと考えたはずである。実は彼らは、自分たちの戦いの物語を、世間にきちんと説明する機会を設けているのかもしれない。『スパイダーマン:ホームカミング』(2017)では、アベンジャーズ本部で記者会見が開催される様子も描かれた。「ロジャース・ザ・ミュージカル」も、そうしたイメージ戦略の一環なのだろうか。

また、カマラの部屋には、キャプテン・マーベルがポーズを決めたポスターも飾られていた。明らかに広報の意図をもって撮影されたもののように見える。地球にはほぼ不在のはずの彼女だが、一体いつ撮影したのだろう?

広報役を嬉々として務めそうなのが、一般人出身の愛すべきお調子者、アントマン/スコット・ラングだ。「ミズ・マーベル」第1話オープニングによれば、スコット・ラングはポッドキャストでインタビュー番組に出演し、『アベンジャーズ/エンドゲーム』サノス戦におけるキャプテン・マーベルの立ち回りを明かしている。オープニングではサノス戦の詳細が比較的正確に語られていたが、これもスコット・ラングのインタビューで判明したことなのか、それとも元々広く知られていたものなのかは不明だ。おそらく、戦闘参加者がどこかで語ったのかもしれない。『エンドゲーム』サノス戦は参加者も非常に多かった。

「ミズ・マーベル」第1話では、やはりアベンジャーズには広報機能があるのではないかと思わされる描写がある。ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーのグルートが「MR.TREE」との誤称でTシャツ販売されていた点だ。劇中ではガモーラやドラックスのコスプレファンもおり、彼らも人気者であることは間違いない。しかし少数精鋭のガーディアンズは、自分たちの物語を世間に正しく伝えられていないのかもしれない。あいつらのことだから、そんなことはどうでも良さそうだけど。

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Writer

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中谷 直登Naoto Nakatani

THE RIVER創設者。代表。運営から記事執筆・取材まで。数多くのハリウッドスターにインタビューを行なっています。お問い合わせは nakatani@riverch.jp まで。

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