マイケル・ケインが俳優業引退との報道、代理人は否定 ─ 本人がラジオで示唆も

『ダークナイト』3部作や『インターステラー』(2014)などのクリストファー・ノーラン作品をはじめ、数々の映画・ドラマに出演してきたイギリスの名優、マイケル・ケインが俳優業を引退するとの報道が広がっている。しかしながら、ケインの代理人はこの報道を否定した。
今回の引退報道は、英BBCのラジオ番組「Kermode and Mayo」にて、ケイン自身が引退を示唆したことがきっかけだった。現時点でケインの最新作は、オーブリー・プラザらと共演したコメディ映画『Best Sellers(原題)』。ケインはこの作品で演じたハリス・ショウ役を、「私の最後の役柄になった」と述べたのである。
「(俳優として)私はもう2年も仕事をしていないから。脊椎の問題が脚にも影響していて、うまく歩くこともできないんです。ただ、私は本を書いていて、何冊か本を出して成功しました。だから、今の私は俳優じゃなくて作家ですね。」
ベストセラーとなった1992年の著書『What’s It All About?(原題)』をはじめ、ケインは3冊の自伝本を執筆したほか、1990年の演技指南書『映画の演技 映画を作る時の俳優の役割』は邦訳版も刊行された。今回、ケインは「俳優は朝6時に起きてスタジオに行かなければいけないけれど、作家はベッドから出ずに書き始められるのがいい」とのジョークも交えている。
ケインは『Best Sellers』について「最後の作品になると思います」と述べ、現時点で出演のオファーを受けていないことも明らかにした。「実際に2年はオファーが来ていないし、僕が出たいと思う映画を作っている人もいないし。88歳の主人公が出てくる脚本も特にないし…そうでしょ?」とはケインの談である。
しかしながら、ケインの発言とは裏腹に、代理人は引退報道を否定した。米The Wrapは、取材に対して「完全引退ではない」「(引退報道は)事実ではない」との回答を得ている。
ちなみに、ケインを毎回キャスティングするクリストファー・ノーラン監督は、次回作『オッペンハイマー(原題:Oppenheimer)』を2022年初頭に撮影開始予定。「オファーが来ていない」というケインだが、『TENET テネット』(2020)に続き、再びノーラン作品に登場することはありうるか。
Sources: Kermode and Mayo, The Wrap