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【特集】天駆ける極彩色の翼!『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』スターロードの愛機ミラノ号のひみつ

記憶に残る冒険活劇には、作品を象徴するような「主人公の乗り物」がよく登場します。
『スターウォーズ』のミレニアムファルコンや『スタートレック』のエンタープライズ号は言わずもがな、『ブレードランナー』のスピナー、『BTTF』のデロリアン、『エイリアン』のノストロモ号、『ナウシカ』のメーヴェ等々。逆算的な説になりますが、魅力的な乗り物の存在はこういったジャンルの映画が成功するために欠かせない要素なのではないでしょうか。

前作に引き続き二作目の大成功も確実となった『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』、21世紀映画史に確実に刻まれるであろうこのシリーズに登場する宇宙船ミラノ号も、そういった類の乗り物と言えます。

というわけで今回は、スターロードことピーター・クィル、そしてガーディアンズ・オブ・ギャラクシーの愛機ミラノ号の特集です。

ミラノ号をデザインしたのは誰?

『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』の宇宙船デザインについては、幻に終わったホドルフスキーの『DUNE』や『エイリアン』のコンセプトデザインで知られるクリス・フォスが参画したことで知られています。

クリス・フォスという名前が巨大すぎること、日本国内においては公式アートブック等が出版されていないことなどの事情から、ネットではミラノ号をはじめ劇中に登場する宇宙船のほとんどをクリス・フォスがデザインしたという情報を見かけます。しかし、この映画製作に際してガン監督がクリス・フォスのアートワーク、特に色彩に多大な感銘を受けたこと、そしてクリス・フォス本人が招へいされて、宇宙船デザインのいくつかを助けたことは間違いありませんが、ミラノ号のコンセプトデザインそのものは、クリス・フォスの手によるものではありません。

スーパーカーのような流線型のフォルム、青とオレンジのド派手なカラーリング、日本のロボットアニメを彷彿とさせるような可変ウイング、まるで10歳くらいの少年の夢をそのまま具現化したような宇宙船ミラノ号。この宇宙船をデザインしたのは、「Atomhawk Design Ltd.(アトムホーク デザイン)」というイギリスのデザイン会社です。
2009年にカムロン・アシュティアーニが設立したこのスタジオはこれまでに映画を始め、『デッドアイランド』『モータルコンバット』や『KILLZONE』などの有名コンシューマーゲームのコンセプトデザインも手掛けています。『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー(2014)』のコンセプトデザインはアトムホークにとって『マイティ・ソー:ダークワールド(2013)』に続いて二作目のMarvel Studioから依頼されたプロジェクトでした。

  1. 挑発的で、過剰で、確信犯的な色彩
  2. 未来的で、なおかつ懐かしいデザイン

ジェームズ・ガン監督のヴィジョンを受けてアトムホークのデザインチームは、1950年代から60年代にかけて制作された『禁断の惑星(1956)』『ミクロの決死圏(1966)』『バーバレラ(1962)』などのパルプSF映画を調査することからデザイン作業をスタートします。

50年~60年代と言えば今よりもずっと飛行機や宇宙旅行が偶像化されていた時代です。この時期に制作されたSF映画に登場するデザインは、自由で、良い意味で荒唐無稽で無駄が多く、現代の目で見るとアイデアの宝庫でした。(個人的には特に『ミクロの決死圏』のガーディアンズへの影響は、操縦席のシートの配列といったデザイン面はもちろんのこと、『リミックス』で捧げられたオマージュからも大きいと思います。未見の方はぜひ)

これらの映画から大きなインスピレーションを得たチームは、そのイメージにマッスルカー等から抽出した現代的イメージを掛け合わせることにより、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』ならではのデザインを模索します。特にミラノ号は主人公の旗艦、外観にしろ内観にしろ非常に長い時間スクリーンに映し出される、いわば映画全体のイメージを左右しかねない機体です。現在空を飛んでいる飛行機のような、機能的でシンプルなデザインなどもってのほか、映画を観る少年の「憧れの対象」となるようなデザインが求められました。
さらにジェームズ・ガン監督の意向により、ミラノ号は巨大なセットが組まれ、実際にその中で撮影を行うため、ミラノ号のデザインチームには「実際に建造可能であること」という軽くない条件も課せられました。以下の動画はクリス・プラットが実際撮影に使われたミラノ号のセットを自ら案内しているものですが、そのセットの巨大さ、内部まで作りこまれた精密さを伺い知ることができます。

[youtube https://www.youtube.com/watch?v=BWnBT-P6ETQ&w=560&h=315]

こういった制作陣からの度重なる難問に応え、試行錯誤の末に完成したミラノ号のコンセプトデザイン。決定稿に至るまで積み重ねられたアートは膨大な数に及び、なんでもアトムホーク社はこのミラノ号のデザイン経験を得ることにより、スピーディーに宇宙船のデザインを量産するプロセスを開発してしまったとか。どれほどのトライ&エラーが費やされたか想像に難くありませんね。

『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』におけるアトムホーク社のアートワークはミラノ号のほかに、ロナンの旗艦ダークアスターや、戦闘機ネクロクラフト、コレクターがいた惑星ノーウェア、キルン刑務所、ザンダー星作戦司令部などが採用されています。詳細は同社のWebページに特設ページがありますので、是非訪れてみてください。

ミラノ号の名前の由来

宇宙船なのになぜ「ミラノ」って名前なんだろう。これは有名な話ですが、80年代を代表する少女アイドル、アリッサ・ミラノの姓からとったとジェームズ・ガン監督が自身のTwitterで認めています。ピーター・クィルがヨンドゥに拉致される前、地球にいるときに憧れていたという設定のようです。

1984年に放映されたTVドラマ『フーズザボス?』で人気が出たアリッサですが、日本では『コマンド―(1985)』のシュワちゃんの娘役といったほうが通りがいいでしょう。若い読者の方は知らないかもしれませんが、「アメリカの後藤久美子」とかいって国内でも結構人気があって、ココアのCMとかに出てたんですよ?

おすすめミラノ号玩具

ここまでミラノ号をご紹介してきて、そろそろミラノ号の玩具を手元に置きたいな、なんて読者の方も少なからずおられるかと思います。しかし映画の大ヒットにも関わらず、実はミラノ号をモチーフにした商品はあんまり発売されておりません。なんでやねん!?
でも、この状況は逆に言うとコンプリートするチャンスです。この稿の締めくくりとして現在入手可能なミラノ号玩具をお勧め順にご紹介したいと思います。

レゴ(LEGO) スーパー・ヒーローズ 宇宙船ミラノ vs.アビリスク 76081

お馴染みのレゴでございます。実はミラノ号、ミレニアムファルコンやその他の宇宙船と比較してスペックに関する情報が圧倒的に少なく、どういった名前のエンジンを積んでるとか、どんな武装を搭載してるとかそういった設定をこの場でご紹介することができません。そういった意味で、多少なりともミラノ号の構造に関心をお持ちの方におすすめがこちらの商品。展開翼のギミックや外観など、エッセンスを抽出した形ではありますが、ミラノ号をより深く理解した気になれるという意味でおすすめでございます。
豆知識として、この稿でご紹介したミラノをデザインしたアトムホーク社の打ち合わせ室にも、このレゴのミラノ号が空中に吊られてディスプレイされています。ミラノを産み出したチームとおそろいというのも所有欲を満たす要素ではないでしょうか。

© 2017 Atomhawk Design Ltd. http://atomhawk.com/news/post/creating-milano-time-lego
© 2017 Atomhawk Design Ltd. http://atomhawk.com/news/post/creating-milano-time-lego

ホットウィール ベーシックシリーズ 1/64スケール ダイキャストビークル ミラノ スターシップ

国内では今年5月に発売されてあっという間に売り切れてしまったというこちらの商品。まだ日も浅いので、どうにかして手に入れる手段はまだまだあると思われます。ほぼ唯一と言っていいミラノ号のミニチュアモデル。しかもダイキャスト製。ホットウィールなので価格も安く、コレクション性も高いです。その上、このレア度から後日の市場価格の値上がりも期待できます。(転売は迷惑なのでやめましょう)

ハズブロ社 ガーディアンズ オブ ザ ギャラクシー 2.5インチ デラックスビークルセット ミラノスターシップ

どうだい?パッケージ写真と商品が全然ちがうだろい?
まがりなりにもアメトイを購入するのであればそんなことでオタオタしていては始まりません。似ているとか似ていないとかは二の次、箱を開けたら「よし、壊れてない」とか「よし(塗装が)はみ出してない」とかそういった些細なことに喜びを見出すのが、アメトイ道でございます。こちらの商品、先に紹介した2つの商品と比較して、「組み立てる手間がない」、「失くす心配がない」といった立派なメリットがございます。お値段もお手頃、リペイントカスタムの土台としてもおすすめでございます。

Source:http://atomhawk.com/news/post/spacecraftcasestudy
http://atomhawk.com/case-study/guardians-of-the-galaxy
http://conceptartworld.com/news/guardians-of-the-galaxy-concept-art-by-atomhawk-design/
http://atomhawk.com/news/post/creating-milano-time-lego
Eyecatch Image:https://www.amazon.co.jp/ファンタスティック・ブラスチック-映画ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーの宇宙船-ミラノ号/

Writer

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アクトンボーイ

1977年生まれ。スターウォーズと同い歳。集めまくったアメトイを死んだ時に一緒に燃やすと嫁に宣告され、1日でもいいから奴より長く生きたいと願う今日この頃。

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