【ネタバレ】「ムーンナイト」最終話、エンディング解説 ─ アノ男の正体とは? 第4話に伏線も

この記事には、「ムーンナイト」第6話『再生』のネタバレが含まれています。
ジェイク・ロックリーとは?

マーク・スペクターもスティーブン・グラントも「ムーンナイト」の原作コミックに登場するキャラクターだが、ジェイク・ロックリーも同様に存在している。原作コミックで、複数の人格を持つ解離性同一症のマークは、億万長者のスティーブン・グラントのほかにタクシードライバーを生業とするジェイク・ロックリーという男の人格も持っている設定なのだ。ドラマ最終話に登場したジェイクはベレー帽をかぶっていたが、これも原作のビジュアルと重なっている。
最終話を監督したモハメド・ディアブは、この謎のエンディングについて、「皆さんがご覧になった全てが、試行錯誤の末のものです」と制作当時を振り返る。原作コミックの設定を踏襲したということであれば、マーク/スティーブンに次ぐいわば第三の人格であるジェイク・ロックリーの登場も不思議ではないが、なぜ突然の登場となったのか。
「たくさんのエンディングを考えました。全く違うものというわけではないですけれど、“ここで止めよう、いやここ。やっぱりここまでにしよう”というような感じで進めていました。3つ目か4つ目の草稿で、全員がこれが本当のラストシーンだということを知れたと思います。ただ、ジェイクをどれだけ見せるかということは、長い時間をかけて話し合ってきました。そしてベストな選択をしたと思います。これで皆、ジェイクのことを知りたがるだろう、と。
でももし開発に十分な時間をかけずに、彼(ジェイク)をマークやスティーブンのようにフルで登場させていたら、それは彼にとってフェアに働かなかったでしょうね。今では、扉を開けたと思っています。もしいつか、(物語が)拡大する時が来たら ── 来るかどうかは分からないですけれど── 、私も参加して、ジェイクに輝きの場を与えたいですね。
こう語るディアブ監督だが、実はジェイク・ロック・リーの登場は第4話『アメミットの墓』で伏線が敷かれていた。劇中終盤、精神病棟で初対面を果たしたマークとスティーブンは脱出すべく、病院の廊下を歩く。すると、ある部屋にあったスティーブンが閉じ込められていたものと同じような石棺が激しく動き、ドンッドンッと音がしていた。米Marvel.comでディアブ監督と共に第4話の監督を務めたジャスティン・ベンソンは、「あれはジェイクです」と明言している。
「私たちは、意図的に種を蒔いたんです。『ムーンナイト』の正史にすごく詳しいわけではない方々にとってはあまり意味を持たないようなミステリーとして描こうと努めました。棺を見ると、そこからは動きや音があったと思いますが、それは何か超常現象的な、霊的なもののように感じられたかもしれません。それでも、そこからクリーチャーを飛び出させないようにしようとも考えました。あとになって、中にいたのが人間であることが分かるんですけれどね。」

最終話でハロウを追い詰めたマーク/スティーブンは、コンスと交わしていた契約を解除し、ムーンナイトから解放されていた。しかしコンスは、マークたちにはジェイク・ロックリーという人格が存在していたことをどこかで知ったのだろう。その後、ジェイクとの間でどのような取り決めがなされたのかは想像するしか無いが、ディアブ監督はジェイクについて、「彼は興味深いキャラクターです。もしマーベルの立場だったら、賢いビジネスの選択は彼を生かし続けることでしょう」と再登場を望んでいる。その一方で監督は、「ただ、マーベルは伝統にはとらわれませんから、もし成功したとしてもシーズン2を作れるというわけではありません」とも語っているのだが。
繰り返しになるが、「ムーンナイト」は謎だらけのまま幕を閉じた。とりわけエンディングの大きな疑問として、エジプトで繰り広げられたハロウとの戦いは現実に起きたことだったのか、そしてなぜハロウは精神病院にいたのか、ということが思い浮かぶ。これについては、ディアブ監督も一つの答えを提示するかわりに、こう語っている。「私なら、“作品を2回3回と観てもらう必要がある”と答えるでしょう。たくさんの手がかりがありますから。何が本当で何がそうではないのかははっきりしていません」。
「ムーンナイト」を巡る今後は現時点で未定のようだが、ディアブ監督は作品について「オープンにしておきたいです」と(当然のことかもしれないが)継続に前向きな姿勢だ。またディアブ監督には、MCU全体の結末に関する驚愕のアイデアがあるようだが、なんと「私はケヴィン・ファイギにずっと、MCUが彼(マーク)の頭の中の出来事だったら?というオチを作りたいとお伝えしてきました」と話しちゃっている。もしもそうなったら……と考えるだけで背筋が凍るような締めくくりだが、ひとまずはジョークとして受け止めておこう。
Source: Variety,Marvel.com