マーベル「ムーンナイト」はMCU版『インディ・ジョーンズ』? ─ 脚本家が語るエジプト学の着想

マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)の新たなドラマシリーズ「ムーンナイト」は、とある名作アドベンチャー映画の雰囲気を帯びているようだ。ハリソン・フォード主演、スティーブン・スピルバーグ監督による『インディ・ジョーンズ』シリーズだ。
「ムーンナイト」は“穏やかさ”と“残酷さ”、2つの人格に悩まされる男スティーヴン・グラントの物語を描くMCUの新シリーズ。オスカー・アイザック演じるスティーブンは原作コミックにおいて、ヒーロー「ムーンナイト」として活動するマーク・スペクターというキャラクターの“オルター・エゴ”、残酷さを持つ別人格として知られている。任務中に重傷を負ったムーンナイトはエジプトの“月の神”と契約を結び、神の化身として蘇っていく、というのが原作コミックでの筋書きだ。
エジプトに大きく関係するムーンナイトの設定はMCUのドラマシリーズでも踏襲されていくようで、英Empireにて脚本家のジェレミー・スレイターは、「コミックには、エジプト学に関する素晴らしいことが描かれています」と語りながら、その要素をドラマ版に取り入れた事を明かしている。そのスレイターがスタジオ側にアイデアを提案する上で参考にしたのが、同じくエジプト考古学を題材にした『インディ・ジョーンズ』だった。
「『レイダース/失われたアーク《聖櫃》』は、私が最初にピッチした時に実際に引用した作品でした。どうすればダークで複雑な物語でありながら、面白くて神秘的で、アンブリン風な魔法を同時にかけられるだろうかと思ったんです。」
“アンブリン”とは、スピルバーグの初期作である短編映画のタイトルであり、監督が設立した制作会社の名前でもある。スレイターは、スピルバーグの手掛ける作品に共通して見られる上述の特徴を意識したと伝えたかったのだろう。なかでも『インディ・ジョーンズ』シリーズ第1作『レイダース/失われたアーク《聖櫃》』は、主人公の考古学者・探検家インディ・ジョーンズがエジプト・カイロの遺跡に眠る宝を目指して奮闘していく物語が描かれた。
ならば「ムーンナイト」はMCU版『インディ・ジョーンズ』と言えるかもしれないが、制作陣は「リアル・インディ・ジョーンズ」と呼ばれている考古学者の知見を取り入れる徹底ぶりで脚本作業を進めていたという。スレイターは、同考古学者から得た学びの1つを明かしている。
「彼はこのように教えてくれました。ギザの大ピラミッドには誰も入れない空間があって、その大きさは自由の女神像を収容できるほどなのだと。そこに何があるのかは誰も知らないんですって。そういうワイルドで現実に即したこと全てを書き入れました。」
先日公開されたばかりの新映像にもピラミッドが映し出されているが、こうした外観や物語の設定部分において『インディ・ジョーンズ』シリーズが参考とされたのは間違いないだろう。もしかすると、直接的なオマージュも散りばめられているかもしれない。
ドラマ『ムーンナイト』はディズニープラスにて、2022年3月30日(水)16時より日米同時配信開始。
▼「ムーンナイト」 の記事
Source: Empire(参照:/Film)