Netflix、さらに20億ドル資金調達 ─ 新たな独自コンテンツのため、過去1年で3度目

Netflixがコンテンツ投資の手を緩めない。ロイターによると同社は、独自コンテンツの製作と獲得のため、さらに20億ドル(約2,250億円)の増資を発表した。
これまでで最高額となる。同社の資金調達は、この1年ではこれで3度目。1回目は2017年10月に16億ドルを、2回目は2018年4月に19億ドルを増資していた。
ロイターは、インドのような新規市場での可能性を秘めている一方で、新規ユーザー獲得に要する高い負債に対して懸念を示す仲介業者も現れ始めていると伝える。立て続けに実施される巨大な資金調達について、とある専門家は「Netflixが短期の事業とコンテンツの設備投資のために資金を要する現れだ」と指摘。フリー・キャッシュフロー(投資家に配分できる余剰資金のこと)の健全性から、これまで以上に遠ざかったという懸念だ。
米CNNも、「Netflixは、トップの座に居座り続けたければ、巨額が必要であると分かっているだろう」と記した。2019年には天下のディズニーが独自のストリーミング・サービスを開始することも分かっている。これに先駆け、ディズニーは米Netflixに提供していた作品配信権を続々と引き上げているのだ。ほか、米通信大手のAT&Tがメディア大手タイム・ワーナーを買収し、スマホ向けの独自のテレビ配信サービス「WatchTV」をリリース予定のほか、DCコミックスもオリジナルのTVシリーズを自社サービス「DCユニバース」で配信予定。競争は激化する一方で、Netflixらプレイヤーは独自コンテンツの質と量の両面で戦わなければならない。
Netflixは、2018年中だけで80億ドルのコンテンツ投資を行う意向を明らかにしていた。実際は第3四半期時点で既に69億ドルを費やしている。最終的には、ロイターによれば90億ドル弱、専門家の分析によれば130億ドルまで膨れ上がるという予想だ。
ソフト面だけでなく、ハード面での強化も進める。2018年10月には、『アベンジャーズ』(2012)など数々の映画が制作された米ニューメキシコのスタジオ「ABQ Studios」の買収に向けて交渉の最終段階に入ったとの報道もあった。このスタジオでは、設備投資として3,000万ドルを費やす見立てだ。
Netflixがいかに独自コンテンツへの投資に注力しているかは、連日伝えられる同社関連ニュースを見れば明らか。この度の増資報道があった日から過去数日だけを見ても、ギレルモ・デル・トロ、「SHERLOCK/シャーロック」制作チーム、カート・ラッセルとクリス・コロンバス、ドウェイン・ジョンソン、スティーブン・ソダーバーグ、『ナルニア国物語』、クリス・パイン、ジェイミー・フォックスとジョセフ・ゴードン=レヴィットなど、大物や人気者、有名作品の最新作の話題がキリが無いほど登場している。この度の調達により、同様のニュースはまだまだ続きそうだ。