Netflixが新型コロナウイルスの救済基金を1億ドルで設立、キャスト&スタッフ対象に ─ 公開延期のコメディ映画、配信権の獲得も

新型コロナウイルス(COVID-19)の世界的な感染拡大は、ハリウッドをはじめ世界各国の映画・テレビ業界に大きな影響を与えている。日本国内では映画の公開延期が続々と決定しているが、アメリカでは多数の映画・テレビ作品が撮影中断を余儀なくされており、今後にもさらなる影響が生じる見通しだ。
こうした状況を受け、米Netflixは、失業状態にあるキャスト・スタッフを支援するために1億ドルの救済基金を設立すると発表した。テレビや映画に携わる人々の多くが、プロジェクト単位、時給制で働いていることを受けての措置だ。チーフ・コンテンツ・オフィサーのテッド・サランドス氏は「状況の良い時、Netflixはクリエイティブ・コミュニティに支えていただきました。この厳しい時に――特に政府が経済的支援についての検討を続けている今こそ--我々は彼らを支援したいと考えています」との声明を発表している。
発表によれば、Netflixの救済基金が主な対象とするのは、自社が世界各国で展開するプロジェクトの従事者のうち、特に大きな被害を受けている人々。詳細についてはプロジェクト単位で検討が進められているという。すでにNetflixは、撮影中断を余儀なくされたプロジェクトのキャスト・スタッフに対し、2週間分の給与を支払うことを決定済み。基金の救済対象となった場合、給与とは別に支援が行われるという。
Netflixは自社以外にも映画・テレビ業界の支援を行う方針であり、第三者および非営利団体による緊急支援には1,500万ドルが寄付される。全米映画俳優組合(SAG-AFTRA)のCOVID-19災害基金、米the Motion Picture and Television Fund、俳優緊急支援基金(Actors Fund Emergency Assistance)に各100万ドル、カナダのAFCとFondation des Artistesの2団体に計100万ドルが寄付されることが決定済みだ。このほか、ヨーロッパやラテンアメリカ、アジアにおいても、既存の組織と連携しながら、同様の支援が行われる予定。詳細は追って告知されるという。
また、米Deadlineによれば、Netflixはパラマウント・ピクチャーズ製作のコメディ映画『The Lovebirds(原題)』の権利を獲得したとのこと。本作はクメイル・ナンジアニとイッサ・レイ演じるカップルが思わぬ殺人事件に巻き込まれる物語で、2020年4月3日に米国公開予定だったが、新型ウイルスの影響により公開延期となっていた。スタジオ製作による公開延期作品が、自社以外のストリーミングサービスに販売されるケースは今回が初めてだ。報道によれば、契約は世界規模であり、配信日は追って告知されるという。
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