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THE RIVERニュースレター 6月30日号 ─ 『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』レビューなど

THE RIVERのニュースレターです。日々のニュースや話題から注目のトピックを厳選して紹介・解説します。面白い最新情報や、タメになる話まで。THE RIVER運営代表の中谷が担当。

いよいよ本日より『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』が公開となります。ハリソン・フォードがインディを演じる最後の作品となる本作、往年の冒険活劇がどのような形で現代に甦るかも注目です。

実際に作品を拝見しましたが、第二次世界大戦時の30代のインディとマッツ・ミケルセン(クラシックな丸眼鏡に前髪を垂らす横顔が印象的)が演じる悪役の過去の因縁を紹介して、1969年に飛んで実年齢のインディが老いを感じながら最後の冒険に繰り出すという構成。伝説の秘宝であるダイヤルを求めて、世界を股にかけた追いかけっこを展開します。

ジェームズ・マンゴールド監督は、シリーズお馴染みのオールドスクールな秘宝探しの旅を再現しました。これには、よく言えば時代を超越した推進力があるのですが、悪く言えばあまり真新しさはなく、「ハリソン・フォード再演による若き姿と老いた姿のインディを再びスクリーンで拝める」という以上に魅力がある脚本運びには、あまりなっていないように感じてしまいました。

そのため、シリーズの往年ファンは懐かしい気持ちに浸りながら楽しむことができるでしょうが、そこまで思い入れのない観客は状況が二転三転する謎解きを追いかけるのに精一杯になってしまうかもしれません。

長年のシリーズの復活作なのですから、「どうしてインディはもう一度冒険に出るのか?その冒険の後に、彼はどのような境地に辿り着くのか?」というキャラクターアークが大事なポイントとなります。つまり、単なるノスタルジー以上の芯が通っているか、ということです。鑑賞の際はその点に着目して、ご自身の中でどのような評価を見つけられるかをお楽しみください。

それでは今週のニュースをご紹介します。

きょうの話題

  • 『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』オープニング興収の見込みは
  • イドリス・エルバ、人種的な批判に疲弊してジェームズ・ボンド役を諦める
  • DC不振、『アクアマン2』はどう宣伝されるか
  • ガイ・リッチー『ジェントルメン』ドラマ化、きちんと進行中

『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』オープニング興収の見込みは

『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』のオープニング興収は米国内6,000万〜6,500万ドル、世界1億4,000万ドルの見込みと業界メディア。中高年の観客が主となる長期シリーズのアクション映画として、『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』(2021)の米5,526万ドル、『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』(2018)の米6,127万ドルとおよそ同程度の規模と見られている。

ちなみに前作『インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国』(2008)のオープニング記録は1億ドル超。同作の評判はあまり良くはないが、興行収入はシリーズ最高の7億8,664万ドルを打ちたてている。

イドリス・エルバ、人種的な批判に疲弊してジェームズ・ボンド役を諦める

ジェームズ・ボンド役の有力候補者の1人と目されたイドリス・エルバは、人種的な批判を浴びせられたことに疲弊して、現在は就任の可能性に極めて消極になっている。憧れの役柄の候補になれたことを「自分はある種の頂点まで辿り着いたんだ」と、文字通り天にも昇る心地で喜んだことを振り返りつつ、反対派の意見によって「すべてが嫌になり、不快になった」とコメント。「なぜなら、それは人種のせいだから。そのせいでナンセンスになったし、僕がその矢面に立たされることになった」。

エルバのボンド役候補は単なるネットの噂話ではなく、具体的に制作側で検討されていたこともわかっている。実現すれば初の黒人ボンドとなったが、その可能性は事前に潰えることになった。

なおエルバには、ボンド役ではなく悪役でオファーされる可能性も伝えられていたが、今回のような経緯があっては、エルバ側がその役を望むかはわからない。ボンド役の選考はまだまだかかりそうだ。

DC不振、『アクアマン2』はどう宣伝されるか

『ザ・フラッシュ』の興行的失敗が取り沙汰され、DCはピンチに追いやられている。『ブラックアダム』『シャザム!〜神々の怒り〜』に続いて、3作連続で赤字とされる状況なので、思いやられるのは現行ユニバース最終作『アクアマン・アンド・ザ・ロスト・キングダム』である。

過去のバットマンも使って、シリーズ集大成的な見せ込みで挑んだ“スーパーヒーロー映画史上最高傑作”の『ザ・フラッシュ』でさえ黒字化が怪しい状況。アクアマンの行き止まり単独作となるこの続編、熱心なファン以外に訴求できるパワーはあるだろうか。

この続編についてジェームズ・ワン監督は、「1作目もそうだったが、『アクアマン』はいつも独立した映画」と、DCユニバースの事情や関連性は気にせず、1本のエンタメ映画として楽しめることをアピール。「アクアマンというキャラクターやブラックマンタのことが好きなら、本作はネクストレベルの作品。この数年間取り組んできたことをついにお見せできることにワクワクしています」と前向きに語った。

確かに2018年の『アクアマン』1作目では、日本でもDC映画とはあまり謳われず、むしろ「『ワイルド・スピード SKY MISSION』ジェームズ・ワン監督」というコピーの方を強調していた。DCのロゴは、日本版ポスターではぱっと見ではわかりにくところに、さりげなく配置されていたのだ。

この続編でも、「DCユニバース最後作」と訴求することにメリットが見出せないようであれば、おそらく前作同様、純粋な海洋アクションエンタメ映画として宣伝されることだろう(そして、その可能性は高いと見ている)。米公開は2023年12月で、日本公開は2024年。国内ではどんな形で紹介されるかにも注目だ。

ガイ・リッチー『ジェントルメン』ドラマ化、きちんと進行中

ガイ・リッチー監督によるクライム・サスペンス映画『ジェントルメン』(2019、日2021)のドラマ化企画がNetflixにて進んでいるという話題が1年前にあったが、どうやら今も進行中の模様。「SUITS /スーツ」(2013)や「ハイジャック」(2023)のマックス・ビーズリーがキャスティングされたようだ。

『ジェントルメン』は、マシュー・マコノヒーやチャーリー・ハナムらが出演したアクション映画。ロンドンを舞台に、麻薬王国の利権500億円をめぐるダーティーな駆け引きが描かれた。

ドラマは全8話構成で、テオ・ジェームズが演じるエディ・ホーニマンが英国人貴族の父を相続して新侯爵となるも、その物件がミッキー・ピアソン(映画でマシュー・マコノヒーが演じた主人公)の所有する麻薬農園の敷地内であることが判明して……という内容。

他、ヴィニー・ジョーンズやジョリー・リチャードソンといった出演陣も決まっており、リッチー自身も最初の2話を監督しつつ、製作総指揮にも参加する。

なお映画『ジェントルマン』をめぐっては、過去の協業者からアイデアを盗まれたとリッチーが訴訟されたこともあったが、キャスティングが進んでいることから、ひとまず制作への大きな影響はなさそうだ。

情報参考:Deadline,Deadline,Comicbook.com,Deadline

Writer

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中谷 直登Naoto Nakatani

THE RIVER創設者。代表。運営から記事執筆・取材まで。数多くのハリウッドスターにインタビューを行なっています。お問い合わせは nakatani@riverch.jp まで。

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