コロナ禍から「元通りになってはならない」 ─ ジュリエット・ビノシュ、ホアキン、デ・ニーロ、アダム・ドライバー、是枝裕和らが声明発表

2020年2月以降、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大により、世界の形ははっきりと変わってしまった。いまや“Stay Home”や“Social Distance”は世界共通の合言葉となり、いくつもの国々が厳しい外出制限措置を講じている。ハリウッドにせよ、ほぼすべての企画が撮影中断され、映画館も長きにわたる休業に入っているのだ。
こうした状況の中、仏Le Mondeにて、女優のジュリエット・ビノシュと天体物理学者のオレリアン・バローを発起人として、「元通りにノーを」と題された声明記事が発表された。コロナ禍で大きな被害を受けた今こそ、経緯と現状を鑑みながら、“元通り”になるのではなく、世界には大きな変化が必要だと訴えかけるものだ。
記事の署名者には、ロバート・デ・ニーロ、ホアキン・フェニックス、ジュリアン・ムーア、ケイト・ブランシェット、アダム・ドライバー、マドンナ、マリオン・コティヤール、ペネロペ・クルス、ウィレム・デフォー、ルーニー・マーラ、ハビエル・バルデム、エヴァ・グリーンといった俳優陣や、アルフォンソ・キュアロン、アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ、ペドロ・アルモドバル、スパイク・ジョーンズ、ジム・ジャームッシュ、是枝裕和、河瀨直美といった映画監督、そのほかさまざまな分野から200人以上が名を連ねている。
「元通りにノーを(Non à un retour à la normale)」
COVID-19のパンデミックは悲劇です。しかしながら、この危機は、本当に必要なものは何かを分析するよう私たちに求めています。我々の考えはシンプルです。“調整”では足りない、問題はシステムにあります。
現在進行している生態学的な惨事は多岐にまたがるもので、地球上の生命が大量に失われることはもはや疑うべくもありません。そして、すべての指標は存続にかかわる危機を指し示しているのです。パンデミック以外にも、世界的な生態系の破壊は計り知れない結果を招きます。
そこで我々は、世界のリーダーたちに──そして私たち市民のすべてに──心から呼びかけます。今でも世界の主流である、持続不可能なロジックを忘れ、私たちの目標や価値、経済を徹底的に見直していくべきだと。
消費主義を追求し、生産性に執着することは、植物や動物、そして数えきれない人々の生命の価値を認めないことにつながってきました。公害や気候変動、残された自然の破壊が、世界を限界に至らしめたのです。
こうした理由とともに、社会の不平等が広がっていることからも、我々には、“元通りになる”ことはとても考えられません。
あらゆるレベルで抜本的な変化が必要です。大胆さと勇気が必要な変化が。それは大規模な、そして確固たる意志のある献身なくして実現するものではありません。私たちは今こそ行動せねばならないのです。これは私たちの品位や一貫性の、そして存続を懸けた問題です。
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