【ネタバレ】実写「ONE PIECE」第1話解説 ─ 原作の再現と変更ポイントを振り返る

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ドラマ「ONE PIECE」第1話『ROMANCE DAWN』解説
22年前のローグタウン。ついに捕らえられた“海賊王”ゴールド・ロジャーが処刑台に向かうところから、物語は始まる。ロジャーを見物するために集まった群衆の中には、若き日のミホークやシャンクスも紛れている。
海軍のガープ中将は群衆に向かって、ロジャーが処刑されれば「平和が取り戻されるだろう」と豪語。しかし反対に、ロジャーが死ぬ間際に放った言葉によって、海賊たちの士気は上がることになる。「この世のすべてをそこに置いてきた。自由になれ。海に出ろ。俺の財宝を探し出せ」。
ロジャーの処刑後、大勢の人々がワンピース(ひとつなぎの大秘宝)を目指して出航。こうして大海賊時代の幕開けとなる。
時は現在に移り、東の海(イーストブルー)でひとり航海しているのは主人公ルフィだ。乗っている小舟の床面が漏水しているにも関わらず、ワクワクした表情で「ワンピースを探し、海賊王におれはなる!」と叫ぶ姿は、まさに楽天家のルフィである。いよいよ船が沈み始めると、ルフィは樽の中に体をねじ込む。樽はそのまま波に乗って、女海賊“金棒のアルビダ”の船に流れ着く。

アルビダは海賊団の女船長で、でかい金棒と怪力が特徴。登場早々、別の海賊を相手に金棒を振り回すアクションシーンは迫力満点だ。“海賊狩り”のロロノア・ゾロが自分を追っていると思い込むアルビダは、敵の船員からゾロの居場所を聞き出そうとする。
しかしゾロの持っていた賞金首リストにアルビダはなかったと聞かされた瞬間、その相手を金棒で容赦なく撲殺。そして彼女が「この海で最強の海賊は誰だ?」と問いかけると、部下たちは声をそろえて「アルビダ様です!」と答える。ちなみにアルビダのこのセリフは、原作では「この海で1番美しいものは?」だ。彼女は太っているため、部下の「アルビダ様です!」という回答は事実じゃない、というのがジョークとなっていた。ドラマ版で「美しい」が「強い」に置き換えられたのは、26年の時を経て変化した価値観が反映されているのだろう。
夜になり、船内に積まれた樽から脱出するルフィ。すっかり腹を空かせ、その場にいた船員のコビーに食べ物はないかと尋ねる。ルフィが海賊であることを明かすと、コビーはそんな風には見えない、と驚いた様子だ。残酷なアルビダにこき使われているコビーにとって、海賊は「卑劣な人殺し」。その海賊像に、ルフィが当てはまらないのは当然だ。そんなコビーに対し、ルフィはすべての海賊がそうではないと語る。
ここで、物語は10年前のフーシャ村にフラッシュバックする。まだ幼いルフィは、村を拠点にしていた“赤髪のシャンクス”の海賊団が戻る日を、指折り数えて待っていた。シャンクスの船が村に着くと、ルフィは船内に乗り込む。そこにはシャンクスをはじめ、副船長のベン・ベックマン、常に肉を片手に持ったラッキー・ルウの姿も。一同を出迎えたルフィは「仲間に入りたい」とせがむが、シャンクスから「海は危険だ。この顔の傷を見ろ」と諭される。海を甘く見て死んでほしくない、というシャンクスの優しさだ。そんな彼の思いも知らず、ルフィは本気度を示す証拠として、ナイフで自分の目の下を刺す。

シャンクスの一味を見て育ったルフィにとって、海賊は「いい仲間たち」と航海する「自由」な存在。まるで正反対なアルビダの船に乗るコビーは、自由を奪われ、彼女の言いなりとして過ごす日々だ。ルフィに逃げることを提案されるが、コビーは不可能だと言い張る。
コビーの協力を得て、こっそり船から脱出しようとするルフィ。しかし、うっかり櫂を鐘にぶつけてしまい、その音を聞いたアルビダたちに見つかってしまう。アルビダを前にしたルフィは、コビーは「自由」であること、そしてアルビダを恨んでいることを笑顔で暴露。憤慨したアルビダが金棒でふたりに殴りかかり、バトルへと発展する。
ルフィは軽い身のこなしで攻撃をよけ、自分の胸に当てられた弾丸を弾き飛ばす。そして手足や胴体をゴムのように伸ばして戦い、必殺技“ゴムゴムの銃(ピストル)”でアルビダを海にたたき落とす。残った船員たちを降参させたルフィは、コビーを連れて次の目的地へと向かう。
さて、ここまでの物語は原作とほぼ同じ道をたどっているが、ゾロの初登場シーンはドラマ版のオリジナルだ。シクシス島でろうそくを灯し、遠い昔に亡くなった「知人」をしのぶゾロ。そこに、謎の組織「バロックワークス」のMr.7と名乗る男が現れる。漫画・アニメ版では、ゾロが「バロックワークス社への勧誘を断り、当時のMr.7を斬った」出来事に言及されてはいたものの、その場面が描かれることはなかった。その様子を描いたドラマ版では、ゾロが華麗な剣さばきを披露し、Mr.7の体を上下真っ二つに斬る。なおバロックワークスの早々の登場は、シーズン2制作を見込んだものと考えてよさそうだ。

続く2度目のフラッシュバックシーンでは、目の下に傷を負ったルフィが、シャンクスから手当てを受けている。バックで流れている音楽は、作中の舟歌『ビンクスの酒』だ。その後ルフィはシャンクスの船内で、悪魔の実の1種である“ゴムゴムの実”を発見。怪しげな見た目に眉をひそめるが、おもむろに実にかぶりつく。
シャンクスが酒場で飲んでいると、山賊たちが登場。頭のヒグマに絡まれるが、事を荒立てないよう穏やかに対処する。山賊に割られた瓶の破片を掃除するシャンクスを見て、部下たちは笑い飛ばすが、ルフィは苛立ちを隠せず「何で反撃しない?」と怒鳴りつける。シャンクスは「暴力はすべてじゃない」と説くが、ルフィは「ただの弱虫だ」と言い捨てて去ろうとする。シャンクスはルフィを引き留めようと、彼の手首をつかむ。するとルフィの腕がゴムのようにビヨーンと伸び、本人も周りの人間も衝撃を受ける。先ほど“ゴムゴムの実”を食べたことで、ルフィはゴム人間になったのだ。
再び現在に戻り、ルフィは偉大なる航路(グランドライン)を向かおうとする。そのためには、まず海図が必要だ。アルビダから逃げて以来、迷いが晴れないコビーに対し、ルフィは人生の目標を尋ねる。するとコビーはためらいつつも、海軍になりたいという夢を明かす。海賊にとって海軍は敵であるにもかかわらず、ルフィはコビーの夢を叶えるため協力することに。こうしてルフィはグランドラインの海図を探すため、そしてコビーを入隊させるため、1番近い海軍基地へと向かう。

一方、イーストブルーの某所では、若い女性・ナミが小舟の上から別の船に助けを求めていた。海賊たちはナミのそばにある宝箱を見て、救助と引き換えに宝をもらおうと小舟に乗り込む。しかし、いざ箱を開けてみると中身は空っぽ。ナミは海賊たちをまんまと騙し、彼らの船を盗むことに成功する。
そしてルフィ&コビーは、海軍第153支部の本拠地・シェルズタウンに到着。建物の壁には数々の手配書が張り出され、そこにはアルビダのほか、原作でお馴染みのベラミー、フォクシー、バギーといった海賊の顔がずらりと並んでいる。酒場で食事をとりながら、海軍基地に入る方法を考えるルフィ。その場には、Mr.7の死体袋を持ったゾロ、ナミも居合わせている。
リカという名の少女がゾロにおにぎりを差し出すと、後ろからモーガン大佐のバカ息子・ヘルメッポが登場。リカとぶつかったヘルメッポは怒り、はずみで床に落ちたおにぎりを靴で踏みつぶす。ゾロは「俺の飯だ」と言い、グチャグチャのおにぎりを食べて「うまいな」と一言。ゾロはヘルメッポに「彼女に謝れ」と言うが、ヘルメッポはそれを拒否し、刀を抜いて戦闘態勢だ。
腰に3本の刀を差したゾロは、刀を抜かずしてヘルメッポと海兵たちを打ちのめす。どさくさに紛れてナミも海軍のひとりを殴り、人気のない場所へ引きずっていく。負けを悟ったヘルメッポはゾロに助けを乞い、父親のモーガン大佐が彼に償うことを約束する。

ゾロはMr.7の懸賞金をもらうため、ヘルメッポとともにモーガンを訪問。ゾロの強さに感心したモーガンは海軍に勧誘するが、あっさりと断られてしまう。そこでモーガンはゾロに、海軍に入るか、海兵暴行の罪で7日間はりつけの刑にされるか、というふたつの選択肢を提示。後者を選んだゾロは、海軍基地の広場で十字型の柱にくくりつけられる。
身動きの取れない状態でヘルメッポから刀を奪われ、怒りを燃やすゾロ。そんな彼の前に現れたのは、基地に入ろうとして迷子になったルフィだ。酒場でゾロの雄姿に感銘を受けたルフィは、自分の仲間になってほしいと申し出る。ゾロが海賊狩りであることを理由に誘いを断ると、ルフィは「それだけか?」と質問。そこで「世界一の大剣豪」になるという夢をゾロが明かすと、ルフィは紐をほどいて彼を解放する。見返りを求めたのではなく、夢を追うゾロにとって時間の無駄になると感じたからだ。

折しも基地に忍び込んでいたナミは、酒場で海兵から盗んだ軍服を着て、地図室で海図を探し回る。そんななか、ナミは同じく海図を探すルフィと遭遇。初対面にも関わらず言い合いをしながら、グランドラインの地図が保管されているモーガンの執務室にそろって向かう。
その途中でふたりはモーガン本人に見つかってしまうが、ナミが機転をきかせて「囚人を連行する新入りの海兵」を装ったおかげで、難なく解放される。さらにナミは、ほんの数分の間にモーガンから執務室のカギを盗んでいた。さすが自称“泥棒”である。ナミの手腕を見込んだルフィは彼女を仲間に誘うが、「海賊はみんな大嫌い」と断られてしまう。
無事、執務室に到着したルフィ&ナミ。ナミから海図を探す理由をたずねられたルフィは、海賊王になるという大きな夢を語る。一方、なぜ泥棒をしているのか聞かれたナミは、自ら望んだ選択ではなく「食べていくため」だと回答。何らかの含みがある発言だ。
ふたりが海図の入った金庫の開錠に苦戦する中、先ほどナミがついたウソに気づいたモーガンが現れ、自慢の“斧手”でドアを打ち破ろうとする。そこでルフィは金庫を床から引き抜くと、その反動でナミとともに窓を突き破り、広場へと脱出。ふたりは、駆けつけた海兵たちと戦うことになる。一方、自由になって刀を取り戻したゾロは、ルフィたちの乱闘を無視して基地を出ようするが、突然立ち止まり加勢する。

3人が並んだところでモーガンが登場し、斧手でルフィたちに襲いかかる。ルフィはゾロに「俺は上に行く。お前は下だ」と指示。3本目の刀を口にくわえたゾロが三刀流でモーガンを追い込み、ルフィがゴムゴムの鞭で決着をつける。
やっとのことで金庫を船に積んだ3人の前に、ヘルメッポが現れる。3人を「親父に引き渡す」といきり立つ中、誰かがヘルメッポの顔面にパンチを浴びせる。なんと、コビーだ。ルフィは嬉しそうな顔でコビーを船に誘うが、もちろん断られる。ルフィとの出会いをきっかけに、コビーは「海兵になって弱いひとたちを守る」夢を追うと決意したのだ。こうしてルフィ、ゾロ、ナミは3人で船に乗り、大海原へと旅立っていく。

最後に、ルフィたちが海軍基地から海図を奪った件は、ふたりの人物に報告される。ひとりは、ガープ中将だ。電伝虫を通じて報告を受けたガープは、部下のボガードに予定変更を告げ、シェルズタウンへと出発する。
もうひとりは、手配書にもあった“道化のバギー”だ。部下のカバジから、3人の海賊に「海図を取られた」と聞かされたバギーは、「殺してでも取り戻す」と宣言。実写版バギーのピエロ顔から放たれる笑顔と高笑いは、ゾッとするほど不気味だ。しかし同時に、続くバギー戦への期待をあおる幕切れとなった。
ちなみに原作でルフィの仲間は最初にゾロ、次にナミという順番で登場するため、第1話でふたり同時に登場したことには「そう来たか!」と思わされた。全8話で東の海編をカバーする上で、最善の策だったといえるだろう。また展開が早いにもかかわらず、各キャラクターの性格や特徴、キャラクター間の関係性をしっかり捉えた手腕も見事である。
Netflix シリーズ「ONE PIECE」は独占配信中。
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