【ネタバレ】実写「ONE PIECE」第2話解説 ─ ダークなバギー戦、ルフィとシャンクスの名シーン登場

この記事には、「ONE PIECE」第2話『THE MAN IN THE STRAW HAT』のネタバレが含まれています。

ドラマ「ONE PIECE」第2話『THE MAN IN THE STRAW HAT』解説
10年前のフーシャ村から始まる実写ドラマシリーズ「ONE PIECE」第2話。ゴムゴムの実を食べた幼いルフィは、マキノの酒場で技の練習をしていた。マキノはルフィを心配し、悪魔の実はものすごい力を与えてくれるが、その代償として「海に嫌われ泳げない体になってしまう」と説明。それこそが、“悪魔の”実と呼ばれる所以だ。

しかしルフィは気にせず、能力者となってさらに自信をつけた様子。改めてシャンクスに「仲間にして」と頼み込むが、「ゴムでも無敵じゃない」と断られる。そしてシャンクスが今回の船出でもう村には戻ってこないことがわかると、ルフィは寂しげな表情を見せる。
時は現在に戻り、ナミはグランドラインへの海図が入った金庫を破ろうと奮闘。ワクワクして落ち着かないルフィが作業の邪魔になると、彼を突き飛ばす。すると麦わら帽子が飛ばされ、海に落ちそうになったところをルフィがキャッチ。真面目な顔で「帽子はやめろ」と伝える。ナミには「拾ってきたような帽子」に見えても、ルフィにとっては「大切な宝物」なのだ。
ついに金庫を開けたナミは、海図の価値を知らないゾロ、現在地がわからないルフィに対し、“航海士”としてレクチャーすることに。海は「東の海(イーストブルー)」、「北の海(ノースブルー)」といった具合で4つに分かれ、世界を一周する細長い大陸「赤の土の大陸(レッドライン)」がある。その真ん中を横切る危険な海域が、グランドラインだ。ルフィはそこに「ひとつなぎの財宝(ワンピース)」が存在すると言うが、ナミは「作り話」だと懐疑的だ。
すると砲弾のような音が聞こえ、甲板に出る3人。真っ赤な煙が船を襲うと、次々と意識を失い始める。ルフィは気絶する直前に、急いで海図を丸呑みする。
目を覚ました3人は、巨大な木箱にとらえられていた。ルフィは海図が無事であること、気を失う前に海賊旗を見たことを伝える。首謀者が海賊なら「殺しやすい」とゾロは言うが、ルフィは海賊同士で話し合って解決しようと提案。ナミは「海賊じゃない」と否定するが、ルフィは自分のことを「一味違う海賊だ」と言い張る。

箱が開くと、そこはサーカスのような巨大テントの中だった。足枷をつけられた観客たちは拍手を強いられ、恐怖で顔が歪んでいる。そこで、“道化のバギー”が登場。原作と比べホラー味の強いバギーだが、ルフィは陽気に「お前をシェルズタウンの手配書で見た」と声をかける。「みんなお前の“話”で持ち切りだな」と伝えると、一気に緊張感が漂う。
自前の赤鼻にコンプレックスを持つバギーのネタは、実写版でも健在だ。バギーはルフィに「おれのハナぁ!?」と聞き返し、バカにしてるのか?とブチ切れる。ちなみに英語ではルフィが「Everyone “knows” who you are(誰もがお前を知っている)」と言い、バギーが“knows”を“nose(鼻)”と勘違いする流れになっている。

バギーは海図を狙っていたらしく、それを「どこの馬の骨とも知らない」3人組に奪われたと主張。ルフィが自分は「海賊王になる男だ」と言い返すと、バギーは笑い飛ばし、部下のモージを使って観客に「笑え」と指示する。このドラマ版オリジナルの演出は不気味でもあり滑稽でもあるため、笑っていいものかどうか、劇中の観客と同じような気持ちにさせられる。
ふたりがどちらが海賊王になるか言い争う中、“海賊狩り”ゾロは自ら正体を明かし、バギー海賊団を威嚇。そこにナミが割って入り「見世物になる能力者」を差し出すことを提案し、ルフィの麦わら帽子を真上に投げる。ルフィは腕を引き伸ばして帽子をキャッチする。
敵がルフィの能力に目を奪われている隙に、ナミは逃亡。しかし外へ出た瞬間、町全体が無残に破壊されていることに気付く。ショックで立ちすくんでいるところを捕らえられ、連れ戻されたナミ。サーカスの観客は、壊された町の住人だったのだ。
海図を「安全なとこ」に隠したというルフィの発言を聞いていたバギーは、そのありかを強引な方法で探ることに。ゾロ&ナミは控室へ連行され、ルフィは拷問を受けることになる。
一方シェルズタウンの海軍基地では、コビー&ヘルメッポを含む海兵たちの前に、ガープ中将と部下のボガードが現れる。モーガンは麦わらの一味に海図を盗まれた事件を報告し、一味を取り逃がした責任を息子ヘルメッポに押し付ける。モーガンが新入りのコビーの手柄に言及すると、ガープは何か考えながらコビーをじっと見つめる。

バギーのサーカス場に戻ると、ゾロは巨大ルーレットにくくりつけられ、ナミは檻に監禁されていた。ナミが逃げたこと、ゾロが勝てないケンカを売ったことで、お互い言い合いになるが、突然ナミが脱出方法に気づく。ピックを1本隠し持っていたのだ。ナミがピックで檻を開錠しようとすると、ルフィの叫び声が聞こえる。
それは悲鳴ではなく、両手両足を引き伸ばされる拷問を楽しむルフィの声だった。バギーが海図のありかを問い詰めるも、ルフィは「腹が減った」と余裕の笑顔。ゴム人間ゆえ、どれだけ引っぱられようと痛くもかゆくもなさそうだ。
バギーは方向性を変えて、ルフィが海賊を目指したきっかけを質問。「憧れの海賊」がいたのだろうと推測し、見事的中させる。麦わら帽子から赤髪のシャンクスを連想したバギーは、かつてシャンクスと同じ船に乗る仲間だったが、彼に裏切られたことを明かす。シャンクスが自分を「スポットライトから遠ざけようとした」件で、恨みを持っているようだ。ゆえにバギーは、お前もシャンクスに裏切られたのだろう?とルフィに問いかける。

バギーは町民のひとり(見た目は原作の町長のブードルだ)に、ルフィの体がちぎれるまで伸ばせと命令。これを拒否されると、バギーは見せしめとして子供に手を出そうとする。これに憤慨したルフィは自力で拘束から脱出し、ゴムゴムの銃(ピストル)をバギーの顔面にくらわす。するとバギーの首がぶっ飛び、町民の膝に着地。切り離された顔面は平然と話し、元の体に戻る。バギーは、体のパーツを自由に分解できるバラバラの実の能力者だったのだ。そして分離された腕がルフィの肩をたたき、例の赤い煙を放って再び気絶させる。
一方ゾロ&ナミがいる控室には、バギーの部下・カバジが登場。ゾロの目の前に立ち、数年前ゴア王国でゾロに兄貴を殺されたと主張する。ナミから合図を受けたゾロは、会話に応じて時間を稼ぐことに。怒りに燃えるカバジはゾロの体をくくりつけたルーレットを回し、彼に向かってナイフを投げつける。その隙に、ナミは開錠に成功。ゾロはルーレットにささったナイフで手首の縄を切り、ふたりで協力してカバジを倒す。
そのころ海軍基地では、コビーがガープから尋問を受けていた。「基地を襲った海賊の仲間」だと疑われた彼は、アルビダに捕まっていたところをルフィに助けられた、と経緯を説明。“麦わらの海賊”=ルフィだと知ったガープは、少し動揺した様子だ。しかし最終的に、海軍に対するコビーの忠誠心を確認し、彼の肩をつかんで「やつを捕らえよう」と意気込む。
ここで再び10年前にフラッシュバックし、シャンクスに絡んだ山賊のヒグマが酒場を再訪問。ルフィは「出ていけ!」と立ち向かうが、ヒグマに胸ぐらをつかまれ身動きがとれなくなる。そこにシャンクスが現れ、ルフィを離すよう命令。「酒をかけられても笑って見過ごすが、おれの友達を傷つけるやつは許さない」と名ゼリフを吐くと、ラッキー・ルウが銃を発射。赤髪海賊団と山賊の戦いの火蓋が切られる。シャンクスたちは鎧袖一触で勝負をつけるが、いつの間にかルフィの姿が消えていたことに気づく。
現在のルフィは、バギーによって水槽の中に閉じ込められていた。そこにはゆっくりと海水が注がれ、ゴムゴムの実の能力は無効になっている。バギーはルフィを「見捨てられた変人」呼ばわりし、自分の海賊団に勧誘。ルフィが断り「海図は渡さない」と宣言すると、バギーは水槽に猛スピードで海水を注ぎこむ。
ところでバギーが言うように、シャンクスはルフィを見捨てたのか?もちろん、そんなはずはない。赤髪海賊団が戦っている間に、ヒグマに連れ去られたルフィ。海の真ん中で小舟に揺られ、ナイフを突きつけられている。そこに巨大な海獣が現れ、ルフィは海に落下。溺れ死にそうになったところを、シャンクスに助けられる。

シャンクスは海獣と対峙して追い返すが、その前に左腕を食いちぎられていた。「シャンクス、腕が!」「おれのせいだ」とショックを受けるルフィに、シャンクスは優しく声をかける。「たかが腕1本さ。無事でよかった」。
再び海水の中で窮地に陥るルフィを助けるため、ナミは自分の武器を投げつけて水槽を破壊。脱出したルフィは咳きこみ、その拍子で海図を吐き出す。そして麦わら帽子を取り戻している隙に、バギーに海図を奪われる。バギーはゾロに斬りつけられるが、体をバラバラにして攻撃を回避。細かく分かれた体のパーツが空中で動き回り、ゾロ&ナミは手も足も出ない。
体を元に戻し、ルフィに向かって「お仲間を引き裂いてやろうか」と笑うバギー。シャンクスの背中を見て育ったルフィは、「海水をぶっかけられても笑って見過ごすが、おれの仲間を傷つけるやつは許さねェ」と言い、パンチを浴びせる。が、バギーは殴られた部分をバラバラにできるため効かないようだ。
バギーが再び体を分解すると、ルフィは“バラバラ”の攻撃を逆手にとった妙案を思いつく。ルフィが各パーツを仕留め、ナミ&ゾロに向かって投げる。するとふたりは協力し、パーツを箱の中に入れていく。これによって3人は、バギーの攻撃を止めることに成功。残った顔面&手足のみで小さくなったバギーを、ルフィがゴムゴムのバズーカで空高く吹き飛ばす。
そしてシェルズタウンでは、ガープが無能なモーガンの権力をはく奪し、コビー&ヘルメッポをふくむ新兵の部隊を指揮することを発表。海賊とは物理的に戦うのではなく、“夢”を奪うことで追い詰めようと企む。その考えにヘルメッポは賛同した様子だが、コビーの表情にはためらいが表れている。
ルフィ&ゾロ&ナミが町の人々に見送られながら出航すると、それと対比するように、ルフィがシャンクスを見送るシーンが映し出される。別れを惜しんで拗ねるルフィに対し、「お前だけが心残りだ」と声をかけるシャンクス。ルフィは自分に海賊は「まだ早い」ことを認めた上で、将来は「ワンピースを見つけて、海賊王になってやる」と宣言。シャンクスは「おれ達を越えるのか」と笑顔で返し、彼の宝物である麦わら帽子をルフィに託す。そしていつか立派な海賊になったら返しに来るよう約束させる。

ナミは、バギー戦で傷ついた麦わら帽子を修復。ルフィにとって大事な宝物であることを、心から理解したようだ。ルフィとゾロがこの先の旅路について語る中、ナミはひとり船室に入る。そして何者かに電話をかけ、「海図は手に入れた」と報告したところで幕が下りる。
第2話はなんといっても、恐ろしさと滑稽さを行き来するバギー役ジェフ・ワードの演技、そしてバラバラの実の能力を見事に実写化した制作チームに感服した。原作よりダークに仕上げつつ、バギーのコミカルな要素をちゃんと残している点も素晴らしい。
また合間にルフィのバックストーリーを入れ、シャンクスと絆の深さが明らかとなっていく構成もうまい。メインのバギー戦と並行して、ルフィのシンボル「麦わら帽子」に込められた重みが見事に表現されている。
Netflixシリーズ「ONE PIECE」は配信中。
Check実写ドラマ「ONE PIECE」エピソード解説
- 1.
【ネタバレ】実写「ONE PIECE」第1話解説 ─ 原作の再現と変更ポイントを振り返る - 2.
【ネタバレ】実写「ONE PIECE」第2話解説 ─ ダークなバギー戦、ルフィとシャンクスの名シーン登場 - 3.
【ネタバレ】実写「ONE PIECE」第3話解説 ─ ウソップ、カヤ、クラハドールが登場 - 4.
【ネタバレ】実写「ONE PIECE」第4話解説 ─ アニメ主題歌「ウィーアー!」流れる船出、クロとの対決 - 5.
【ネタバレ】実写「ONE PIECE」第5話解説 ─ サンジ初登場、ゾロVSミホークの名バトルで「三千世界」 - 6.
【ネタバレ】実写「ONE PIECE」第6話解説 ─ サンジ&ゼフの感動シーンと、原作からの細かな変更点 - 7.
【ネタバレ】実写「ONE PIECE」第7話解説 ─ アーロンパーク突入とナミの感動エピソード、原作と照らし合わせて - 8.
【ネタバレ】実写「ONE PIECE」第8話解説 ─ 最終話は原作をどうアレンジしたか?