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『レッド・スパロー』女性スパイ映画の見どころを監督が語る ― 『アベンジャーズ』ブラック・ウィドウに「似てると思われてますよね」

レッド・スパロー
© 2018Twentieth Century Fox Film Corporation

ジェニファー・ローレンスの主演最新作『レッド・スパロー』は、一人の女性が自らの夢を絶たれ、意志に反してスパイとして暗躍する物語だ。このストーリーを耳にして、あるいは予告編を観て、一部の映画ファンは――とりわけコミックの大ファンなら――ハリウッドに存在する一人の女スパイを想起したかもしれない。マーベル・シネマティック・ユニバース作品、『アベンジャーズ』シリーズに登場するナターシャ・ロマノフ/ブラック・ウィドウである。

実際のところ、単独映画化も報じられているブラック・ウィドウと、『レッド・スパロー』の主人公ドミニカ・エゴロワ(ジェニファー・ローレンス)はどう違うのか? こんな直球すぎる問いかけに、本作を手がけたフランシス・ローレンス監督は率直に回答している。米ScreenRantが伝えた。

レッド・スパロー
© 2018Twentieth Century Fox Film Corporation

ブラック・ウィドウに「似てると思われてますよね」

自作の主人公と、まったく異なる登場人物の類似を指摘された時、きっと穏やかな気持ちになれないクリエイターもいるのではないか……。しかしフランシス監督は、「(『レッド・スパロー』は)ブラック・ウィドウの話に似てると思われてますよね」と一言。どのように作品性が違うのか、そして『レッド・スパロー』の特徴はどこなのか、丁寧に説明してくれた。

「この映画はブラック・ウィドウが原作なのではなくて、『レッド・スパロー』という、CIAにいた男性(ジェイソン・マシューズ)が執筆した小説を原作にしています。彼が参照しているのは、(ブラック・ウィドウとは)まるで違うものなんですよ。でも、似ているとは思われるでしょうね。」

監督がこう述べているように、原作となった同名小説を手がけたジェイソン・マシューズは、実際にCIAエージェントとして33年間諜報活動に従事した人物だ。したがって、いわゆる作家の想像力では届かないような、超リアルで息を呑むストーリーテリングが見どころとなっている。

「人は物事を枠にはめてしまいがちですが、この映画は非常にユニークな作品だと思っています。スリラーであって、アクションではありません。それに、ガジェットが出てくるようなものでもありませんしね。ハードなR指定で、暴力があれば、不条理で、サスペンスフルで、物語の筋もたくさんある。スパイ映画として、完全に別物なんですよ。」

またフランシス監督は、ある女性が望みを絶たれて、洗脳を受けるようにしてスパイへの道を突き進むストーリーについては「典型的なスパイものの設定」だと述べている。その上で本作では、より現実的なアプローチで描いているというのだ。またナターシャ・ロマノフとドミニカ・エゴロワに共通する「バレエ」という共通点についても、本作では「それ以降」に焦点を絞ったと明言している。

「映画の大部分は、彼女(ドミニカ)が負傷した後の物語になっています。大がかりなバレエのシークエンスはあるので、大変な振付の場面を撮りましたし、ジェニファー(・ローレンス)はかなりの特訓を受けてくれました。素晴らしいダンス・ダブル(代役)もいましたし、すべてが最高でしたよ。とても良い場面ですが、それもすぐに終わりますから。」

ちなみにマーベル・シネマティック・ユニバースにおいて、ブラック・ウィドウのオリジン・ストーリーは『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』(2015)で示唆された程度である。もはや、比較するのは無粋とすらいっていいだろう……。地に足の着いたアプローチを採った、あらゆる描写が大人向けのスリラーとして、本作では女性スパイ映画の新たな局面を堪能したい。

映画『レッド・スパロー』は2018年3月30日より全国の映画館にて公開中

『レッド・スパロー』公式サイト:http://www.foxmovies-jp.com/redsparrow/

Source: SR
© 2018Twentieth Century Fox Film Corporation

Writer

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

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