『レッド・スパロー』女性スパイ映画の見どころを監督が語る ― 『アベンジャーズ』ブラック・ウィドウに「似てると思われてますよね」

ジェニファー・ローレンスの主演最新作『レッド・スパロー』は、一人の女性が自らの夢を絶たれ、意志に反してスパイとして暗躍する物語だ。このストーリーを耳にして、あるいは予告編を観て、一部の映画ファンは――とりわけコミックの大ファンなら――ハリウッドに存在する一人の女スパイを想起したかもしれない。マーベル・シネマティック・ユニバース作品、『アベンジャーズ』シリーズに登場するナターシャ・ロマノフ/ブラック・ウィドウである。
実際のところ、単独映画化も報じられているブラック・ウィドウと、『レッド・スパロー』の主人公ドミニカ・エゴロワ(ジェニファー・ローレンス)はどう違うのか? こんな直球すぎる問いかけに、本作を手がけたフランシス・ローレンス監督は率直に回答している。米ScreenRantが伝えた。

ブラック・ウィドウに「似てると思われてますよね」
自作の主人公と、まったく異なる登場人物の類似を指摘された時、きっと穏やかな気持ちになれないクリエイターもいるのではないか……。しかしフランシス監督は、「(『レッド・スパロー』は)ブラック・ウィドウの話に似てると思われてますよね」と一言。どのように作品性が違うのか、そして『レッド・スパロー』の特徴はどこなのか、丁寧に説明してくれた。
「この映画はブラック・ウィドウが原作なのではなくて、『レッド・スパロー』という、CIAにいた男性(ジェイソン・マシューズ)が執筆した小説を原作にしています。彼が参照しているのは、(ブラック・ウィドウとは)まるで違うものなんですよ。でも、似ているとは思われるでしょうね。」
監督がこう述べているように、原作となった同名小説を手がけたジェイソン・マシューズは、実際にCIAエージェントとして33年間諜報活動に従事した人物だ。したがって、いわゆる作家の想像力では届かないような、超リアルで息を呑むストーリーテリングが見どころとなっている。
「人は物事を枠にはめてしまいがちですが、この映画は非常にユニークな作品だと思っています。スリラーであって、アクションではありません。それに、ガジェットが出てくるようなものでもありませんしね。ハードなR指定で、暴力があれば、不条理で、サスペンスフルで、物語の筋もたくさんある。スパイ映画として、完全に別物なんですよ。」
またフランシス監督は、ある女性が望みを絶たれて、洗脳を受けるようにしてスパイへの道を突き進むストーリーについては「典型的なスパイものの設定」だと述べている。その上で本作では、より現実的なアプローチで描いているというのだ。またナターシャ・ロマノフとドミニカ・エゴロワに共通する「バレエ」という共通点についても、本作では「それ以降」に焦点を絞ったと明言している。
「映画の大部分は、彼女(ドミニカ)が負傷した後の物語になっています。大がかりなバレエのシークエンスはあるので、大変な振付の場面を撮りましたし、ジェニファー(・ローレンス)はかなりの特訓を受けてくれました。素晴らしいダンス・ダブル(代役)もいましたし、すべてが最高でしたよ。とても良い場面ですが、それもすぐに終わりますから。」
ちなみにマーベル・シネマティック・ユニバースにおいて、ブラック・ウィドウのオリジン・ストーリーは『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』(2015)で示唆された程度である。もはや、比較するのは無粋とすらいっていいだろう……。地に足の着いたアプローチを採った、あらゆる描写が大人向けのスリラーとして、本作では女性スパイ映画の新たな局面を堪能したい。
映画『レッド・スパロー』は2018年3月30日より全国の映画館にて公開中。
『レッド・スパロー』公式サイト:http://www.foxmovies-jp.com/redsparrow/
Source: SR
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