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スティーヴン・キング『心霊電流』映画版、脚本初稿が完成 ─ 『ドクター・スリープ』監督が挑む

スティーヴン・キング『心霊電流』(上・下)(文藝春秋刊)

『ドクター・スリープ』(2019)のマイク・フラナガン監督による、巨匠スティーヴン・キング著『心霊電流』(文藝春秋)の映画化企画が着々と進行しているようだ。フラナガンによると、脚本の初稿はすでに完成しており、その出来栄えをキングは気に入っているという。

原作『心霊電流』は、米ニューイングランド地方に住む少年ジェイミー・モートンと、町にやってきた牧師チャールズ・ジェイコブスの物語。家族の不幸から牧師として挫折したチャールズは失踪し、それから時は流れ、ヘロイン中毒のミュージシャンとなったジェイミーと再会することになる。

フラナガンがキング作品の映画化に挑むのは、『ジェラルドのゲーム』(2017)『ドクター・スリープ』に続いて本作で3度目。The Kingcastでは、「(超常的な恐怖と対峙する)コズミックホラーに回帰するのが面白い。とことんダークでシニカル、めちゃくちゃ楽しいです」と語っている。「キングはそういう作品が多いけれども、感傷的なアプローチの物語もたくさんあって、そこには安心感がある。だけど今回は希望もなければ容赦もない、そこが良いんです」。

『心霊電流』をどのように脚色するのか、フラナガンは詳しく語っていない。ただし「すごく楽しい原作」「長らくこういう結末の映画を作っていなかった」との言葉から、キング&フラナガンのファンには察しのつく部分もあるのではないだろうか。スタジオ側が“とことんダークでシニカル”な物語にどう反応するかは未知数だというが、本作の場合、スティーヴン・キングという原作者の存在も心強い。フラナガンいわく「こういう作品は自分のこだわりを貫きやすいんです。スティーヴン・キングがこういう結末を推奨している以上、強気に出られますからね」

既報によると、フラナガンは映画版『心霊電流』の脚本・プロデューサーに就任しているものの、自ら監督を務めるかは未定。なにしろフラナガンは2020年にNetflixドラマ「ザ・ホーンティング・オブ・ヒルハウス」(2018)のシーズン2「ザ・ホーンティング・オブ・ブライ・メイナー(原題:The Haunting of Bly Manor)」を配信予定、さらにはドラマ「ミッドナイト・マス(原題:Midnight Mass)」、クリストファー・パイクによる同名小説のドラマ版「ミッドナイト・クラブ(原題:Midnight Club)」の製作を控えるなど多忙の身なのである。

Source: The Kingcast, ComicBook.com

Writer

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

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