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2年後にはAIが映画を作っている ─ 『アベンジャーズ』ルッソ監督が予言する「AIがもたらすストーリーテリングの民主化」

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AI(人工知能)の目覚ましい発展についてのニュースを聞かない日はない。あらゆる分野において生産性の革新的な向上が見込まれる一方、イーロン・マスクをはじめAI脅威論を唱える声もある。

映画の世界ではどうか。『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019)や『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』(2022)などの大ヒット作を手がけるジョー・ルッソは、来たるAI新時代を予告した。まもなくAIが映画を制作できるようになり、それによって「ストーリーテリングの民主化」がもたらされるという。米Colliderによる興味深いディスカッションで考察した。

「私はいくつかのAI系企業で役員をやっているのですが、そういう会社での役員としての経験から言わせてもらいます。今、人をAIから守るAIを開発しているAI企業があるんです。

残念ながら、この世界でAIは人生に必要なものなのです。なぜなら、あなたがAIの開発を望むか望まないかにかかわらず、結局は我々に友好的ではない誰かが開発することになる。だから、そういう未来が訪れるのです。そこで問題となるのは、その未来で一体どうやって自分を守るのか、ということです。」

ルッソは、“AIが映画を作るようになるまでどれくらいかかるか”と尋ねられると、「2年」と回答。近い将来、AI製の映画が登場するのではないかとの見方を示した。

ルッソは「望むか望まないかにかかわらず、そういう未来が訪れるということを認めなくてはいけない」と繰り返し強調すると、「その価値はストーリーテリングの民主化です。これは信じられないほど価値があること」と説く。

「ここにいる誰もがストーリーを語れるようになったり、フォトリアルエンジンやAIツールの助けを借りて、スケールの大きなゲームを作ったりすることができるようになるということです。そこに最も興奮させられます。」

つまり、AIを活用すれば、一般人でも映画やゲームが製作できるようになるという。「ストーリーテリングが変わる」と話すルッソによれば、例えばこんなことが可能になる。AIに「私のリアルなアバターとマリリン・モンローのリアルなアバターが共演する映画が観たい。今日は疲れたから、ラブコメが良いな」と指示すると、とても良く出来たストーリーをレンダリングしてくれる、というものだ。「あなたの声も真似して、90分のラブコメが出来上がるんです。つまり、自分だけの物語を作ることができるのです」。

こうした未来は、近いうち(それもおそらく想像よりも早く)必ず訪れるということだ。なかなか想像がつかないところもあるが、ルッソは「30年前から変わらないことですよ」と、こんな例え話を持ち出している。

「30年前、もしもあなたとレストランで会う約束に遅れていたとしたら、車を止めて、ポケットから小銭を出して、電話機に投入して、レストランに電話をかけ、あなたを探してもらって、大きなマップ本を開いて、レストランへのたどりつき方を調べなくてはいけない。もしも当時、“そんなの10年後には全部ポケットに入っていて、いつでもどこでも電話できるようになっているよ”と言われたら、きっと飲み込めなかったと思います。」

ルッソは、これと同じような時期が、AIにも訪れているのだとの考えを述べている。「おそらく10年後には、“昔はAIなしでどうやって生きていたんだろう”と思うようになりますよ」。

Source:Collider

Writer

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中谷 直登Naoto Nakatani

THE RIVER創設者。代表。運営から記事執筆・取材まで。数多くのハリウッドスターにインタビューを行なっています。お問い合わせは nakatani@riverch.jp まで。

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