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【映画に登場するマニアックな格闘技2】キャップも苦戦!ストリート生まれ、パリ紳士の喧嘩格闘技サバット

映画『キャプテンアメリカ:ウィンターソルジャー』序盤、海賊に乗っ取られたSHIELDの船舶に、キャップ率いるストライクチームがHALO降下(キャップはパラシュート使いませんが)より、船上へ突入します。
劇中でも屈指の盛り上がりをみせるアクションシークェンスの連続の中でもやはり白眉は、海賊のリーダー、ジョルジュ・バトロックとキャップの一騎打ちシーンですよね?
逃げているところをキャップに追いつかれたバトロックですが、銃もナイフも使わないで、蹴り技中心の体術で攻め立てキャップを防戦一方に追い込みます。あげく『お前には盾以外にも、何かあると思っていたがな』(字幕では『盾が頼りか』と表記されます)と、挑発、それを受けてキャップが『試してみるか?』と、盾を背中にしまい、ヘルメットを脱ぎ捨て、それを見たバトロックがニヤリと笑う。燃えるシーンです。

今回ご紹介するのは、このバトロックが使う格闘術『サバット(Savate)』です。

サバットとは

サバットはフランスで生まれた格闘技です。18世紀、パリにいた不良たちが使っていた喧嘩技術を、ミッシェル・カスーが体系化、その後紳士の格闘術としてフランス全土に広まっていきました。
本来サバットには、ステッキを使う杖術としての『ラ・カン』、打撃主体の『ボックス・フランセーズ』、投げや関節技の『リュット・パリジェンヌ』と3系統ありましたが、現在はそれぞれ独立した競技になっており、(リュット・パリジェンヌは危険な技が多く競技にはなりませんでした)一般に『サバット』というと『ボックス・フランセーズ』のことを指す場合がほとんどですので、この項はそれに準じます。

サバットはキックボクシングや、ムエタイ等にパッと見似ていますが、肘や膝による打撃、バックブロー、脛部分での蹴り等が禁止されており、そのルールはかなり独自性があります。そもそもサバットはフランス語で『靴』を指し示す通り、靴を武器に見立てている競技なので、キック有の立ち技競技には珍しく専用のシューズを履いた状態で競技します。
なんでも、18世紀のフランスでは、不良たちは靴に仕込みナイフを装備していることが多かったそうで、サバットには爪先を使った蹴り技があり、逆に防御の際に靴を脛でガードするとポイントを取られたりしてしまいます。
前述の『ラ・カン』『リュット・パリジェンヌ』と併せて総合格闘技だったわけで、現在のサバットは護身術というよりはスポーツ色が強いフェンシング等と似た印象です。

映画に登場するサバット

『キャプテンアメリカ:ウィンターソルジャー』に登場するサバットの使い手バトロックを演じるのは、総合格闘技の世界では知らぬものはいないジョルジュ・サンピエール。バウンド・フォー・パウンド最強の呼び声高い実力と、記者会見を始めとした公の場での紳士的な立ち居振る舞いから、格闘技ファンから多大なリスペクトを寄せられている選手です。

原作コミックのバトロック(ザ・リーパー)は、映画と同じくキャプテン・アメリカのヴィランとして登場、ジブリアニメ『紅の豚』に登場した空賊のようないでたちと、ヴィランとしての能力は鍛え上げた体術のみという設定から、やられ役としてもポジションをすっかり確立しており、記憶に新しいところではデッドプールに急所攻撃されてゲー吐いたりしてる情けない姿が思い出されますが、映画のジョルジュ・サンピエール演じるバトロックは、目の覚めるような身のこなし、華麗なサバットの蹴り技と、前述した正々堂々の一騎打ちを好むような性格、おしゃれな口髭など、かっこいい悪役として鮮烈な印象を残しました。

サバットが映画に登場したことは非常に少なく、『ウィンターソルジャー』の他には2004年の『ルパン』まで遡り、それ以外は記録がありません。アルセーヌ・ルパンのお父さんがサバットのコーチという設定でした。映画自体いまいちな仕上がりだったので覚えている方はもはやいないかもしれませんね。

eyecatch image:http://marvelcinematicuniverse.wikia.com/wiki/Georges_Batroc

Writer

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アクトンボーイ

1977年生まれ。スターウォーズと同い歳。集めまくったアメトイを死んだ時に一緒に燃やすと嫁に宣告され、1日でもいいから奴より長く生きたいと願う今日この頃。

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