マーベル『シャン・チー』、ライアン・レイノルズ『フリー・ガイ』映画館で45日間の独占公開が決定 ─ 配信戦略は未定、米ディズニー発表

ウォルト・ディズニー・カンパニーは、マーベル映画『シャン・チー/テン・リングスの伝説』および、ライアン・レイノルズ主演『フリー・ガイ』の2作品を、映画館にて45日間の独占公開とする方針を発表した。これは、投資家向けの収支報告会でボブ・チャペックCEOが明らかにしたものだ。
新型コロナウイルスの感染拡大後、ディズニーは映画の劇場公開を延期し、その後もディズニープラス(Disney+)を併用してのリリースを展開してきた。『ムーラン』(2020)はディズニープラスのプレミア アクセス(追加料金あり)で配信リリースとなり、『ラーヤと龍の王国』『クルエラ』『ブラック・ウィドウ』『ジャングル・クルーズ』(いずれも2021)は劇場公開日にプレミア アクセスでの同時配信となったのである。
ただしディズニーは、『フリー・ガイ』を2021年8月13日から、『シャン・チー』を9月3日から、まずは映画館のみで上映する構えだ。45日の上映期間ののち、両作がどう扱われるかは不明。ディズニープラスでプレミア アクセス配信がスタートする可能性もあれば、追加料金なしでの配信となる可能性もあるだろう。

コロナ禍以前、アメリカの映画業界では、映画館で90日間の上映が行われることが基本だった。しかし、コロナ禍を経て業界は変化を余儀なくされ、現在では大手スタジオ各社が配信リリースを戦略的に採用している。このたび、『フリー・ガイ』『シャン・チー』の劇場独占公開に踏み切った理由を、チャペック氏は「映画館の客足に明らかな好転の兆候がみられた」ためだと説明した。
米Deadlineによると、ディズニーは当初から、劇場公開と配信リリースの同時展開を一時的な戦略として捉えており、状況しだいで映画館に再び焦点を合わせることを検討しているという。アメリカの映画館では、配信リリースとなる作品の劇場公開を見合わせる動きもあっただけに、劇場側にとっては喜ばしいニュースと言えるだろう。
ただしチャペック氏は、映画を劇場だけで公開できるほどには市場が回復していないことも強調。今後も“柔軟性”を重視するとして、劇場・配信の併用を継続する可能性を示唆した。「今年度ののち、どの作品で映画館とプレミア アクセスを併用し、どの作品をディズニープラスに送り、あるいは映画館に送るのかという戦略は発表していません。映画館業界の回復について進捗を注視し、しかるべき時に、しかるべき決定をするため、柔軟性をもって対応していきます」。
Sources: Deadline, Variety, ComicBook.com