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『スカーフェイス』リメイク版は「超R指定」希望 ─ ルカ・グァダニーノ監督「ショッキングな映画に」

Scarface (1983) スカーフェイス
©Universal Pictures 写真:ゼータイメージ

『君の名前で僕を呼んで』(2017)『サスペリア』(2018)のルカ・グァダニーノ監督が、名作ギャング映画をリメイクする『スカーフェイス(原題:Scarface)』の現状と展望を語った。

第77回ヴェネツィア国際映画祭にて、現地メディアBadTaste.itの取材に応じた監督は、「ブライアン・デ・パルマの『スカーフェイス』(1983)をどう考えているんですか?」との質問に、「どうして僕が参照するのがデ・パルマ版の方だと思ったの?」と“逆質問”。もともと『スカーフェイス』でさえ、ハワード・ホークス監督による『暗黒街の顔役』(1932)のリメイクなのだ。

グァダニーノ監督は「デ・パルマ版には影響を受けているし、僕にとっても大切な映画」だと前置きしながら、「彼らはそれぞれの時代に映画を作っていて、僕の『スカーフェイス』は前回から40年経ちます。大切なのは、過去の作品が豊かで、かつ非常に重要な映画だということでしょう」と述べた。監督が何よりも惹かれているのは、デ・パルマ版でアル・パチーノが演じた主人公、裏社会をのし上がっていくトニー・モンタナという人物だという。

「大事なのは、トニー・モンタナは典型的なキャラクターなのだと認識すること。いま話していることって、たとえば、イエス・キリストの映画を作るときに『キング・オブ・キングス』(1927)や『最後の誘惑』(1988)の話をするようなものでしょう。そんなふうに過去の傑作のことは考えませんよ。偉大な監督がつくった傑作への劣等感もありませんしね。」

監督によると、主人公のトニーは「アメリカンドリームという大病にかかっている人物」。それこそ『暗黒街の顔役』製作当時の1930年代からそのまま抜け出してきたような人物像だという。「トニー・モンタナは100年近くも観客のイメージに影響を与えてきたわけです。僕が魅力を感じるのは、悪を生み出す力とは何かということ。等身大以上の作品を作りたい。成功の夢、満たされることへの夢を描きます」。

ちなみにグァダニーノ監督は、『スカーフェイス』という名作のリメイクに挑むにあたり、自ら高いハードルを与えてもいる。最後に監督は、プロジェクトの課題について、このようにも語ったのだ。

ひとつ、優れた作品にすること。だから最高の脚本でないといけないのですが、それはできています。ふたつ、トニー・モンタナを現在のキャラクターにすること。過去の模倣はしたくありません。みっつ、ショッキングな映画にすること。『サスペリア』に続いてみなさんを驚かせます。デ・パルマ版はR指定でしたが、僕のは“超R指定”がいいですね。」

グァダニーノ監督が絶賛したリメイク版の脚本は、『ノーカントリー』(2007)などで知られるコーエン兄弟が執筆。製作は米ユニバーサル・ピクチャーズが担当する。

グァダニーノ監督、ドラマにも注目あつまる

Source: BadTaste.it

Writer

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

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