リドリー・スコット、『ブレードランナー 2049』を自分で撮るべきだったと後悔 ─『エイリアン:コヴェナント』撮影スケジュールで断念

『エイリアン』シリーズ、『グラディエーター』(2000)などを手がけたリドリー・スコットは最も多忙な映画監督の1人だ。キャリアをスタートした1970年代から今日に至るまで果敢に映画製作を続けているスコットは、代表作の1つである『ブレードランナー』(1982)の続編を監督しなかったことを後悔しているそうだ。英Empireのインタビューでの発言を米Deadlineが紹介している。
フィリップ・K・ディックのSF小説「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」を原作とする『ブレードランナー』はその世界観や独特の映像表現で、今もなおSF映画のマスターピースとして唯一無二の評価を博している。2011年にはアルコン・エンターテインメント制作でスコットが続編に取り掛かることが報じられていたが、スケジュールの都合でスコットは監督を降板せざるを得なくなってしまった。2017年にはライアン・ゴズリング主演で続編映画『ブレードランナー 2049』が公開されたが、メガホンを取ったのは『DUNE/デューン 砂の惑星』(2021)のドゥニ・ヴィルヌーヴ。スコットは製作総指揮という立ち位置で作品に関わった。
『ブレードランナー』続編の監督を諦めた結果、『エイリアン』の前日譚映画である『エイリアン: コヴェナント』(2017)の製作に臨んだスコットはインタビューにて「あの決断をすべきではありませんでした。せざるを得なかったのですが。私は『ブレードランナー2』を撮るべきでした」と未練を残している様子だ。
『ブレードランナー』シリーズといえば、米Amazon Studios製作で準備中の新ドラマシリーズ「ブレードランナー 2099(原題:Blade Runner 2099)」は「映画版の知性とテーマ、精神性を守る」ものであることが報じられているが、あらすじや詳細はベールに包まれたまま。『ブレードランナー 2049』と同様に製作総指揮として関与するスコットいわく、「オルダス・ハクスリーの『すばらしい新世界』のアイデアを旋回しているもの」とのこと。「すばらしい新世界」はジョージ・オーウェルの「1984年」と並んでディストピア小説の代表格として知られているだけに、「ブレードランナー 2099」もシニカルかつ風刺が効いた仕上がりに期待ができそうだが、2023年春より続く脚本家ストライキ、そして2023年7月に開始した俳優ストライキの影響を受け、2024年春まで延期になるだろうと見立てられている。
一方、スコットがプロデュースを担う『エイリアン』のテレビドラマ版は現在も撮影が進行中。同じくスコットがプロデュースする『エイリアン』の新作映画は2023年7月に無事撮影が完了している。監督作としてはホアキン・フェニックス主演の『ナポレオン』が2023年12月に日本で劇場公開を控えるほか、『グラディエーター2(仮題)』はストライキにより撮影を中断している。常にいくつものプロジェクトを同時進行しているスコットが、これからも歩みを止めることなく精力的にチャレンジを続ける様を追い続けたい。
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Source:EMPIRE MAGAZINE,Deadline