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【ネタバレ】『シャン・チー』父・ウェンウーのエンディング別案が判明 ─ 実現しなかった理由、監督が明かす

シャン・チー/テン・リングスの伝説
©Marvel Studios 2021

この記事には、『シャン・チー/テン・リングスの伝説』のネタバレが含まれています。

シャン・チー/テン・リングスの伝説
©Marvel Studios 2021

父・ウェンウー、生存の可能性あった

犯罪組織「テン・リングス」のリーダーであるウェンウーの目論みは明快だ。若くして殺された妻、イン・リーを取り戻すことである。伝説の村ター・ローに生まれ育ったイン・リーは、ウェンウーとの恋に落ち、やがて結婚する。彼女はウェンウーをしのぐ力の持ち主だったが、故郷を去る際に自分の力を村に置いてきた。しかしそれは、ウェンウーへの復讐を狙う敵との戦いで命を落とす原因となる。やがてウェンウーは、イン・リーの声を聞くようになった。ター・ローにある異界への門・ダークゲートの向こうにイン・リーは閉じ込められており、今も助けを求めているというのだ。

ウェンウーはシャン・チーや妹のシャーリンを呼び寄せ、テン・リングスの力によって、ター・ローを滅ぼしてでも妻を取り戻そうとする。しかしウェンウーを呼んでいたのは、妻ではなく、異界から現れようとしていた魔物の声だった。ダークゲートを攻撃したウェンウーは、魔物をこちら側の世界に誘い出してしまう。それでもイン・リーを求めるウェンウーだったが、真実に気づいた時、魔物に魂を吸い取られて帰らぬ人となってしまった。

しかしクレットン監督は、ウェンウーが生き延びる結末を一時は考えていたことを認めた。米Entertainment Tonightの取材にて、インタビュアーは「トニー・レオンほどの伝説的な俳優をキャスティングしたわけですし、ウェンウーの生存は考えなかったんですか?」と一言。これに監督は「考えました」と即答し、これが実現しなかった理由を話している。

「物事には、うまくいくことと、そうでないことがあります。私たちが常に求めていたのは、キャラクターの存在を最も信じられるストーリー。つまり、キャラクターを意図的に操ろうとしたところで、そこにはインチキめいた部分が残ってしまうということです。(ウェンウーの生存も)そのうちのひとつでした。」

監督の言葉を言い換えれば、ウェンウーが生き延びる結末を作ったところで、そこには“作り手がウェンウーを生き延びさせようとした”という手触りが残ってしまい、キャラクターが自然に動いたことによる結末には見えなくなってしまう、ということだろう。ウェンウーは魔物の攻撃からシャン・チーを守ろうとし、そのまま魂を吸い取られてしまった。その幕切れはあまりにも突然で、ウェンウーの最後の思いは想像するほかない。

もっとも、クレットン監督はウェンウーの登場が今回かぎりであるとも断言してはいない。「まあ、MCUではどんなことも起こりえますから」という言葉は、たとえばマルチバースや回想シーン、あるいは別の手段で、ウェンウーが再び姿を見せる可能性をわずかに示唆するものだろう。

ところで、ウェンウーが呼び出してしまった魔物は「ドウェラー・イン・ダークネス(Dweller in Darkness)」という名前で、デザインこそ大きく異なるものの、コミックではドクター・ストレンジの宿敵として登場したヴィランである。以前、『ドクター・ストレンジ・イン・ザ・マルチバース・オブ・マッドネス(原題)』のヴィランとしてドウェラー・イン・ダークネスが登場するのではないかとささやかれたこともあったが、果たして……?

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Source: Entertainment Tonight

Writer

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

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