「アソーカ」シン・ハティ役で話題のイヴァンナ・ザクノとは? ─ ウクライナ出身、『アメリ』に憧れて演技の世界に

熱心な『スター・ウォーズ』ファンが観たかった『スター・ウォーズ』を思う存分観せてくれるとして話題沸騰中の新ドラマ「スター・ウォーズ:アソーカ」。魅力たっぷりの本シリーズの中でも、話題を集めているのがシン・ハティ役のイヴァンナ・ザクノだ。
ザクノが演じるシン・ハティは、新たな悪役ベイラン・スコールの右腕的存在として登場する人間の女性。シスの赤いライトセーバーを操るハティは俊敏な剣術を得意とし、劇中ではまだジェダイとしての剣技に未熟なサビーヌ・レンを追い詰める。第3話では、パイロットとしての腕も見せた。

シン・ハティというキャラクターには、『スター・ウォーズ』の他のどのキャラクターにも似ていない、独自の魅力がある。第1話の冒頭、共和国の護送船にベイランと共に乗り込んできた際には、まるで殺人アンドロイドのような不気味さを放った。

シン・ハティは表情に乏しく、与えられた任務をただ冷淡にこなす、従順な戦士のように見える。しかしエピソードが進むにつれ、ハティにはある種の脆弱さが内在していることが、徐々に浮き彫りになっていく。
ベイラン・スコールの弟子であるという立場はあるにせよ、ハティはまだ判断力を持ち合わせず、多くの場面で師の指示や見解を待っている。彼女は明らかに子どもではないが、地に足のついていない少女のような危うさがある。闇の鉄仮面を被ったつもりでいながら、急な事態が起こると表情に動揺が現れてしまうのだ。
シン・ハティには、自身がなろうとしている、または、なったつもりでいる人物像と、実際のパーソナリティに危険なギャップがあり、それが彼女に儚げな印象を与えている。これから先、徹底的に心を殺して完全なる冷血戦士に変貌するのか、あるいは自身を解放することになるのか。視聴者の注目を不思議と惹くような、魅力的なキャラクターだ。
このキャラクター造形の大部分に貢献しているのが、演じるイヴァンナ・ザクノだ。スクリーン映え十分な、刺すような目力。精一杯の強さを演出しようとする表情。ザクノ以外が演じていたら、ここまで目を惹くキャラクターになっていたかはわからない。

シン・ハティ役 イヴァンナ・ザクノのプロフィール
1997年11月14日生まれ、ウクライナ出身。ロシア侵攻を受けたキーウは彼女のホームタウンである。8歳の頃、母親に観せてもらった『アメリ』(2001)を観て俳優業に憧れた。その翌年には、すでに現地のテレビドラマに出演している。
貯金を続けると、英語の勉強のために13歳でカナダのバンクーバーに留学。幼い頃から努力家だったことを知ることができる。ある時、ジュリア・ロバーツやレオナルド・ディカプリオを輩出したキャスティング・ディレクターのクラスに参加したことで、ハリウッドとのつながりが得られた。16歳の頃には渡米し、ハリウッドで暮らしながら演技を学んだ。2018年公開の『パシフィック・リム:アップライジング』では、イェーガー(ロボット)パイロットの一人に選ばれる。
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「アソーカ」のシン・ハティ役でのボブヘアが印象的だが、普段はショートヘアでいることが多いようだ。透き通るような顔立ちは、エリザベス・オルセンに似ていると言われることも。
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「アソーカ」は全米俳優組合ストライキ中にリリースされた作品のため、現在ザクノが作品について語った情報は少ない。その貴重な一つとなるポッドキャスト出演では、『スター・ウォーズ』作品への出演がいかに夢のような出来事だったかを語っている。
「最高な経験でした!『マンダロリアン』と同じように、現場ではThe Volumeという最先端技術を使っていました。スクリーンに囲まれて、光量もすごいです。でも、宇宙船や物理的なものの多くは、ドラマのために実際に組まれたものでした。コックピットに着座した時に、童心にかえっていろいろと見回していたのを覚えています。ボタンも実際に作動するんですよ。子どもの頃の夢が叶った感じでした。本当に宇宙船のパイロットになった感覚で、自分がそれを生業にしているような気分。こんな経験ができちゃうなんて、クラクラするし、すっごくラッキーだったと思います。」
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また、「アソーカ」劇中で師匠のベイラン・スコール役を演じたレイ・スティーヴンソンが作品配信前にして亡くなった折には、現場での記念写真とともに追悼コメントを投稿。「私の親愛なる友人、私のマスター。大きな心を持った巨人」「あなたの光を、私の中に宿します。自由に飛んで、ブラックバード」と故人を惜しんだ。
現在はストライキ中のため、しばらくザクノの新作情報を聞くことはできない。収束すれば、きっとザクノの元に様々なオファーが舞い込むことになるだろう。シン・ハティの今後の運命とともに注目したい。
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Source:unian,ScreenRant