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【ネタバレ解説】『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』ニック・フューリー、いつから◯◯◯◯◯◯◯◯◯ ─ 最大の謎が誕生するまで、張り巡らされた伏線

スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム
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この記事には、『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』のネタバレが含まれています。すでに作品を鑑賞された方向けの内容となりますのでご注意下さい。なお、このページをSNSにてシェア頂く際は、記事内容に触れないようお願い致します。

ポストクレジットシーンに仕掛けられた謎

『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』には、多くのMCU作品と同じく2つのポストクレジットシーンが用意されているが、どちらも複雑かつ挑戦的な内容だ。ひとつめは街中の巨大ビジョンにミステリオの遺した映像が映し出され、ピーター・パーカーがスパイダーマンであることが公に暴露されるというもの。そしてふたつめが、サミュエル演じるニック・フューリーと、コビー・スマルダーズ演じるマリア・ヒルが車を運転する“問題のシーン”である。

クレジットが終わると、二人で車に乗っているフューリーとマリアの姿が映し出される。しばしの沈黙が流れたのち、マリアがおもむろに変装を解除し、緑色の宇宙人へと姿を変える。続いてフューリーも、同じように緑色の宇宙人という“元の姿”へと戻るのだ。実は『ファー・フロム・ホーム』に登場していたフューリーとマリアは、観客の知るフューリーとマリア本人ではなく、『キャプテン・マーベル』(2019)に登場した変身能力を持つスクラル人、タロス(ベン・メンデルソーン)と妻ソレン(シャロン・ブリン)だったのである。タロスが電話越しにフューリーに連絡を取ると、フューリー本人はバカンス風の装いに身を包み、宇宙ステーションらしき場所の一角でくつろいでいた……。

『キャプテン・マーベル』スクラル人の解説はこちら(ネタバレあり)

タロス、いつからフューリーに化けていたのか

『ファー・フロム・ホーム』のポストクレジットシーンは、本作のみならずMCU全体のストーリーにも大きな影響を与えうるものだ。そもそも、タロスはいつからフューリーに化けていたのか。『キャプテン・マーベル』の舞台は1995年だったが、『ファー・フロム・ホーム』の時代設定は『エンドゲーム』直後にあたる2023年。実に28年もの時間が流れていることになる。

ComicBook.comのインタビューにて、ジョン・ワッツ監督はこの疑問に真正面から答えていた。

「時系列をはっきりさせておくと、(『エンドゲーム』の)ラストでトニーの葬儀にいたのは本物のニック・フューリーです。つまり、フューリーがずっとスクラル人だったわけではありませんし、『キャプテン・マーベル』以来ずっとスクラル人だったのでもありません。」

すなわち、『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』(2018)で塵と消えてしまったフューリーは、『エンドゲーム』で復活し、トニー・スターク/アイアンマンの葬儀に出席したのち、スクラル人に連絡を取って宇宙ステーションらしき場所へと移動。自身の不在を埋め合わせるため、地球にはタロスと妻ソレンを送り込んだのである。ということは、すでにマリアも宇宙での任務に従事している可能性が高いだろう。

スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム

すでにファンの間では、フューリーのいた宇宙ステーションが、コミックに登場するS.H.I.E.L.D.の関連組織「S.W.O.R.D.」の基地ではないかとの予測が早くも浮上している。S.W.O.R.D.は宇宙からの脅威を監視、対抗するための組織という設定だ。『エンドゲーム』を経て、フューリーが地球外での新たな活動を始めている可能性が指摘されているわけである。

これに対してマーベル・スタジオのケヴィン・ファイギ社長は、米Screen Rantにて「今後についてはお話ししませんが、興味深いポイントがいくつも出てきています」と語った。「タロスとニックは長年にわたってコンタクトを取り続けて、明らかに関係を築いている。彼らはどれくらいの頻度で連絡を取っていたのか、なぜそんなことをしていたのか、ニックはどこにいて、何をしているのか」。

ところで脚本家のクリス・マッケナは、「実際にフューリーがあそこで何をしていたのか、今はお話しできる状況にありません」話している。どうやら、このポストクレジットシーンが今後のMCUに深く関係していることはほぼ間違いなさそうだ。

Writer

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

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