『バットマン vs スーパーマン』議論呼んだマーサのシーン、ザック・スナイダー監督が説明 ─ 「問題なかった」
『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』(2016)は、DCコミックスが誇るアメリカン・コミック史上最も有名なヒーロー、バットマンとスーパーマンが対決する作品とあって極めて重要度の高い作品だった。物語では、とある経緯あってバットマンとスーパーマンが激突。禁断のヒーロー・バトルが見どころとなったが、映画は思わぬ展開に転がっていく。
その作用点となった「マーサ」の件について、ザック・スナイダー監督が振り返った。上映会イベントに登壇した際に語られたものとして、米Comicbook.comが伝えている。
この記事には、『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』(2016)のネタバレが含まれています。

なぜその名を知っている!
メトロポリスは、シリーズ前作『マン・オブ・スティール』(2013)で描かれたスーパーマンとゾッド将軍の戦いによって、地上に甚大な被害が及んでいた。バットマン/ブルース・ウェインは自身が保有するビルを破壊され、社員の多くを失ってしまう。
一方でスーパーマン/クラーク・ケントは、地球での育ての親マーサ・ケントをレックス・ルーサーに誘拐され、母の命を引き換えにバットマン殺害を要求される。
かくして2人は激突。バットマンはクリプトナイトを用いてスーパーマンの能力を無効化、互角の決戦を見せる。追い詰めたバットマンがトドメの一撃を振りかざしたとき、スーパーマンが「お前のせいでマーサが殺される」「マーサを救え」とこぼす。これはマーサ・ケントを指しているが、実はブルースの母も同名のマーサ。幼い頃に殺害されたトラウマである母の名前を持ち出されたと勘違いしたバットマンは、「なぜマーサの名を知っている!」と絶叫。駆けつけたロイス・レインが「マーサは彼の母親の名前よ」と説明すると、バットマンは蹌踉、2人は和解。以降、レックス・ルーサーを止めるため共闘に至る。
どうやって戦いを止めようか
意外な理由で対立関係を解消させた「マーサ」の件は、公開直後よりファン議論が勃発。同作批評の際には折に触れて指摘に上がるシーンとなった。果たして、この展開はいかにして決定したのだろうか。ザック・スナイダー監督が率直に振り返っている。
「面白い話で、(脚本家の)クリス・テリオと僕がそのシーンまで進んだとき、こんな話し合いをしたんです。(バットマンとスーパーマンが)戦う理由は分かるけど、どうやって戦いを止めさせようか?と。」
つまり『バットマン vs スーパーマン』は、「vs」に至る設計は綿密だったが、それは必ずしも「和解と共闘」まで含んだものではなかったことを示唆している。スナイダー監督は、対立後の話運びを「タフだった」と表現した。
「そこで、2人の人間性に取り掛かったんです。バットマンが、スーパーマンにも人間性があると気づく。ただの怪物じゃなく、人間なんだと。確かにエイリアンではあるけれど、あらゆる意味で、自分よりも人間的だ、と。人類の良い部分を抱擁するような存在で、バットマンはスーパーマンの中に、自分にはないものを見出したんです。そこから話し合いを始めたと思います。」
バットマンは、お互いが「人の子」であることに気付く。激闘の末、スーパーマンに「マーサは死なせない」と約束、思いをひとつにした。2人の間にあった「母マーサ」の共通点を動機付けに起用した理由には、思った以上にカジュアルな背景があったようだ。
「それで、クリスが僕に”ちょっと言ってみるだけだけど…、2人とも母親が同じ名前なんて不思議じゃない?“と言ったんですね。僕も”凄いね!本当なの?本当だ”と。そうやって話し合いを進めました。どうやったらうまくハマるかを話して、ロイスがそれを伝える展開にしたらベターじゃないかと。」
こうして仕上がった脚本は、後にファンの間では「バットマンとスーパーマンの死闘を解決するのに相応しい理由か」と議論を呼ぶことになるが、このたびスナイダー監督は「これは神話の構築。あの部分は問題なかったと思っています」と明言している。
Source:Comicbook.com