『007 スペクター』を5代目ボンド役ピアース・ブロスナンはどう見たか

『007』シリーズ史上最高の興収額を打ち立てた『007 スカイフォール』(2012)の次作として公開された『007 スペクター』。同作には、シリーズの伝説的なヴィランであるエルンスト・スタヴロ・ブロフェルドが30年以上ぶりに再登場したことも相まって、大きな期待がかけられていたはずだ。
結果を言えば、『スペクター』の興収額は『スカイフォール』には及ばず、批評家の反応も賛否両論であった。それでは、歴代のジェームズ・ボンド俳優は同作をどう評価したのか。米国で公開された直後の2015年11月中旬、5代目ジェームズ・ボンドを務めたピアース・ブロスナンが『スペクター』を観た感想を明かしていた。
「(『スペクター』を)僕はすっごく楽しみにしていたんですが、映画は長すぎるように感じました。あとはストーリーも弱かった。もっと凝縮できたのではないでしょうか。間延びしてもいましたね。はっきりとした信念もなかったと思います。」
手厳しい意見だ。ピアースが指摘している尺について、『スペクター』の上映時間は、それまで最長であった『007 カジノ・ロワイヤル』(2006)をわずかに上回る148分。『スペクター』では、『スカイフォール』で亡くなったM(ジュディ・デンチ)の遺言で言い渡された非公式のミッションに挑むボンドの姿が描かれ、上述のブロフェルドとの世界を股にかけた激戦が繰り広げられた。『カジノ・ロワイヤル』で失ったヴェスパー以来となる恋人、マドレーヌとボンドの関係性にも同時並行で焦点が当てられていくなど、描かれたことは多岐にわたった。

それ故の148分だったわけだが、それでもピアースはもっと尺を短くする手立てがあったと信じているのだろう。とはいえ、ピアースが『スペクター』にネガティブ一色の評価を下しているのかといえば、そうでもないらしい。歴代と異なる新たなボンド像を確立したダニエル・クレイグには、好意的な意見を寄せているのだ。
「4作目に挑んだダニエルに(ボンドの)所有権がありますから。彼は(ボンドに)良い感じの緩さを与えたと思います。それでいて最強の戦士なんですから、彼(ダニエル)はこの作品で気の利いたジョークとかおふざけとかを組み込みながら、素晴らしい感覚を見つけたんだと思います。」
そんなダニエルが最後のジェームズ・ボンドを演じるシリーズ最新作『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』の公開も間近に迫っている。当時のピアースは「もっとタイトにすれば、彼もクラシックな作品をもう1つ作れるでしょう」とアドバイスしていたが、報道によれば『ノー・タイム・トゥ・ダイ』の上映時間はシリーズ最長の163分(2時間43分)だという。『スペクター』から尺は大幅に伸びているが、ピアースは『ノー・タイム・トゥ・ダイ』にどのような評価を下すだろうか。
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Source: HitFix(Screenrant参照),Indiewire