【続報】『スパイダーマン』マーベルとソニーの対立報道は「誤解」 ─ ソニー側が声明発表、ケヴィン・ファイギのプロデューサー離脱のみ認める

ディズニー/マーベル・スタジオとソニー・ピクチャーズが『スパイダーマン』映画の契約条件について対立し、スパイダーマンがマーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)を離脱する可能性があるとの報道について、ソニー側が声明を発表した。米The Hollywood Reporterが報じている。
先の報道によると、ディズニー/マーベルとソニーは『スパイダーマン』映画への出資や利益分配など資本面をめぐって対立しており、交渉は決裂したとのこと。ただし、ソニーは「スパイダーマンに関する報道のほとんどは、ケヴィン・ファイギ(マーベル・スタジオ社長)のフランチャイズへの関与についての話し合いを誤解しているものです」とコメントした。
一方でソニーは、今後の『スパイダーマン』映画にケヴィン・ファイギがプロデューサーとして関与しないことを認めた。「残念なことですが、私たちの実写映画版『スパイダーマン』次回作に(ケヴィンを)プロデューサーとして続投させないというディズニーの判断に敬意を払います」。あくまで、ケヴィン社長のプロデュース離脱はソニーではなくディズニー側の判断だったというわけだ。

今回の決定について、ソニーは、ディズニーと20世紀フォックスの事業統合が背景にあるのではないかと推察している。MCU映画の指揮にあたっており、今後は『X-MEN』『ファンタスティック・フォー』『デッドプール』などにも携わる予定のケヴィン社長について、ソニー側は「仕事を抱えすぎなのかもしれません」と述べているのだ。
「私たちは(今回の決定が)将来的に変化することを願っています。しかしながらディズニーが、新たに加わったマーベルの財産も含め、新たな責任を彼に多数委ねていることを理解してもいます。(ケヴィンには)自分たちの所有していない財産(=スパイダーマン)にまで関わる時間がないのです。ケヴィンは素晴らしい人物で、私たちは彼の助言や指導に感謝していますし、彼が導いてくれた道筋をありがたく思っています。その道筋は、今後も私たちが進んでいくものです。」
今回の声明にある、“ケヴィンが導いてくれた道筋を今後も進んでいく”という言葉の意味を正確につかむことはできない。しかしソニーによるコメントが、あくまで『スパイダーマン』映画からケヴィンが離れる件にのみ言及するものであったことには留意が必要だろう。スパイダーマンとMCU全体の関係や、ディズニー/マーベルとソニーの契約全体については一切触れられていないのである。
また第一報ののち、米io9はソニーから「今回の対立はプロデューサーのクレジットに関するものにすぎないとの理解であり、話し合いは進行中です」との返答を得ている。米Deadlineによると、ソニーは『スパイダーマン』映画をさらに2作品計画しており、ピーター・パーカー役のトム・ホランドと、前2作を手がけたジョン・ワッツ監督の続投を希望しているとのこと。ただし、ワッツ監督とスタジオは次回作以降の契約を現状結んでいないという。
MCUの映画部門はマーベル・スタジオ社長のケヴィン・ファイギが統括しているものの、他社であるソニー製作の『スパイダーマン』映画からケヴィン社長が離脱することが、すなわち、スパイダーマンがMCUを去ることに直結するかどうかはわからない。マーベル・スタジオにはケヴィン社長の右腕である優秀なプロデューサーが複数人存在するため、ケヴィン社長ではなく、彼らを『スパイダーマン』に送り込むことも十分にありうるためだ。そこでいえば、スパイダーマンとMCU全体の関係は、いまだ実状のつかめない資本面の問題にこそかかっている。