『スパイダーマン』次回作、マーベルとソニーの再交渉を両社会長が語る ─ 「大切なのはファンベース」

マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)版『スパイダーマン』シリーズの第3作(タイトル未定)で、ディズニー/マーベル・スタジオとソニー・ピクチャーズが一度は交渉決裂を経ながら、ふたたび共同製作に漕ぎつけたことについて、ウォルト・ディズニー・スタジオのアラン・ホーン会長、ソニー・ピクチャーズのトム・ロスマン会長が振り返った。
2019年8月、ディズニー/マーベルとソニーは『スパイダーマン:ホームカミング』(2017)『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』(2019)に続く次回作の条件をめぐって対立。一時は交渉決裂し、スパイダーマンがMCUを離脱すると報じられるも、のちに両社は和解。9月28日には、第3作を共同で製作することが発表されている。
米The Hollywood Reporterの座談会に登場したホーン氏は、一時『スパイダーマン』をめぐって確執が生じていたことについて言及され、「何が解決の決め手になったのか」との問いかけに応じている。
ホーン氏「(決め手は)ファンベース、我々全員にとって大切なものです。トム(・ロスマン)のチームと我々がやり遂げた仕事に、みなさんが大きな反応を示してくださいました。(ソニーのスパイダーマン映画に)マーベル・シネマティック・ユニバースとケヴィン・ファイギ(マーベル・スタジオ社長)が関わったことを気に入ってもらったんです。もう一度、力を合わせてほしいというご意見をお聞きして、それが良いと思いました。」
マーベルとソニーの再交渉には、スパイダーマン役を演じたトム・ホランドの力があったともいわれている。ウォルト・ディズニー・カンパニーのボブ・アイガーCEOはこれを認めているが、今回の座談会ではホランドについて言及されていない。報道によると、ホランドはアイガーCEOとロスマン会長の双方に再交渉を求めていたというのだ。なお、「『スパイダーマン』第3作以降も両社の協力関係は継続されるのか?」という問いかけに2人は答えていない。
ロスマン氏は、第3作の共同製作については「いわゆるウィン・ウィン・ウィンでした」と語る。「ソニーにとっても、ディズニーにとっても、ファンのみなさんにとっても良い、ということです」。ちなみにロスマン氏は、メディアをけん制するような言葉も口にした。
ロスマン氏「ひとつ言えるのは、報道のサイクルと交渉のリズムが必ずしも重なるわけではないということ。今回の場合、シェイクスピア(『ハムレット』)の言葉を借りれば、“心から望んだ通りの決着(a consummation devoutly to be wished)”です。こうなるだろうとは思っていましたが、報道が先に出てしまった。」
ちなみに、ホーン氏はロスマン氏の言葉に「その通りです」と応じているわけだが、ファンの声を聞いて再交渉が実現したのなら、事前の報道なくして「こうなるだろうと思っていた」「心から望んだ通りの決着」は得られたのだろうか。ソニー・ピクチャーズの会長兼CEOであるアンソニー・ヴィンシクエラ氏は、報道のあと、両社の交渉について「現時点で扉は閉ざされています」と述べていたが……。
映画『スパイダーマン』第3作(タイトル未定)は2021年7月16日に米国公開予定。