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【ネタバレ】『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』ラスト解説と考察 ─ 続編への伏線が?

スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース
©2023 CTMG. © & ™ 2023 MARVEL. All Rights Reserved.

この記事には、『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』のネタバレが含まれています。

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もう1人のマイルスとの関係は

一方で、アース42のアーロンとプラウラーは実は完全なヴィランではなく、ある種の自警団として活動しているという推理もできる。アーロンはこれから現場に繰り出そうとするような様子だったが、もしかすると街に蔓延るシニスター・シックスを倒そうと動いていたのかもしれない。

アース42のアーロンとプラウラーが敵か味方かわからない以上、続編では2人のマイルスが共闘する可能性も残されている。これには”もう1人のマイルス”がどのような背景を有しているかが、重要な点となりそうだ。

気掛かりなのは、別世界の自分に素顔を晒したこのマイルスが、軽蔑的な、見下すような表情をしていたこと。アース1610のマイルスが「元の世界に帰らないと、僕たちの父さんが死ぬ」と訴えても、「お前の父の話だろ」「どうしてそんなことを(=マイルスの解放を)しなくちゃならない」と気にも留めなかったこと、「俺はマイルス・モラレス、だがお前はプラウラーと呼べ」と本名呼びを許さなかったこと(これは『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』で、ピーターたちが互いをピーターと呼び合うことにこだわったのとは非常に対照的だ)を考えると、例えば次のような可能性がある。

まず、アース42のモラレスが、父ジェファーソンに恨みを持っていた可能性だ。この異世界のジェファーソンは表向き、トリビュートアートも捧げられる街の人気者のようだったが、家庭内ではマイルスとの間に問題を抱えていたかもしれない。もしもあのプラウラーが悪行を行っているのなら、息子の非行の要因の一つは父との関係にあった、という物語だ。その場合、アース1610のジェファーソンの身に何が起ろうとも彼は気にしないはずで、マイルスを元の世界に戻そうと協力する義理はなくなる。

なんなら、自分もアース42に行って父を倒すとすら言うかもしれない。というのも、アース42のアーロンもマイルスも、別のマイルスが突然現れたのに至って冷静であったところが妙だからだ。もしかするとこの2人は、すでにマルチバース間移動、あるいは別世界からのマイルスなどの訪問を経験している可能性がある。

他にも、アース42モラレスが自身の過去になんらかのトラウマを抱えているという展開もあるだろう。例えば彼は、異世界に紛れ込んで怯えるもう1人の自分を、かつての弱き自分自身と重ね、これを物理的にも精神的にも葬ろうとするかもしれない。なぜアース42のモラレスは、名前で呼ばれることを拒否し、見下すような表情をしていたのか。それは、自分はもう強くなったのだと、もう1人の自分に誇示する必要があったのだろうか。こうした物語で“別世界の自分”が描かれる時は、大抵の場合、共に協力するか、あるいは滅ぼし合うか、その二つに一つしかないのだ。

ちなみに『スパイダーバース』では異世界のスパイダーマンたちが大勢共演しているが、キャラクターが“別世界の(=変異体の、同姓同名の)自分自身”と出会うのは初めて。次回作でマイルスは、“スパイダーマンとしての運命”のみならず、“マイルス・モラレスとしての運命”にも向き合わなければならない。

『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』の続編『スパイダーマン:ビヨンド・ザ・スパイダーバース』は、(間に合うかはわからないらしいが)2024年3月29日US公開予定。『アクロス』監督トリオのホアキン・ドス・サントス、ケンプ・パワーズ、ジャスティン・K・トンプソンが続投し、シリーズ製作・脚本のフィル・ロード&クリス・ミラーももちろん引き続き仕事をする。

ところで“アクロス”のタイトルはマルチバースなどが“交差”することを意味したが、“ビヨンド”は“超える”という意味。マルチバースを、そして常識をも超えて、何が起こってもおかしくない。

Writer

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中谷 直登Naoto Nakatani

THE RIVER創設者。代表。運営から記事執筆・取材まで。数多くのハリウッドスターにインタビューを行なっています。お問い合わせは nakatani@riverch.jp まで。

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